2014年1月号記事

タイの現状からみる

仏教国が「乱れる」理由

戒律の目的は心の平安を得ることにある

法話 「比較宗教学から観た『幸福の科学』学入門―性のタブーと結婚・出家制度―」 で、大川隆法・幸福の科学総裁はタイ仏教について触れた。原始仏教の修行を厳格に受け継いできたと言われるタイ仏教の問題とは何か。タイの現状をレポートしつつ考えてみた。

タイは敬虔な仏教徒が人口の95%を占める「微笑みの国」。2015年に統合されるASEANの中心国としても期待されている。しかしその反面、社会の乱れも激しいようだ。性産業が発達する一方、エイズ発症者数は累計110万人にものぼる。麻薬も蔓延し薬物中毒者は推定120万人以上だ(注1)。厳格な仏教国で知られるタイがなぜこのように乱れているのか。

タイの民衆にとって仏教とは、功徳を積んで「来世はお金持ちに生まれる」といった一種のご利益信仰だという指摘もある(注2)。

中でも、出家する功徳は大きいとされ、タイでは多くの成人男性が、数カ月の出家をする風習がある。出家生活では227もの戒律が課せられ、「金銭に触れない」「女性に触れない」「午後は食事をしない」といった厳しい禁欲生活を送る。

僧侶の結婚に対してもタイ人の抵抗感は強い。今年6月、20年近くタイで出家修行し、多くの著作も出した日本人の高僧が、突然還俗してタイ人女性と結婚した。還俗後の結婚は破戒ではないが、「仏陀を汚した」という批判も噴出。タイ社会は騒然となり、海外紙にも採り上げられた。