台風30号がフィリピンに甚大な被害をもたらしたことを受け、各国が支援に動いているが、中国が人道支援のために当初提示した支援額が10万ドル(約1千万円)だったことに、欧米メディアの批判が先週から相次いであがっている。

11月14日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、シンクタンク研究員ローリィ・メドカーフ氏は、「ジョージ・ワシントンなどの空母と海兵隊を派遣し、支援物資を運びこんでいる米国の対応は、オバマ大統領の東アジアサミット欠席を補って余りあるものとなった」とし、日本についても、ヘリ空母を含む3隻の艦船と1000人規模の自衛隊という戦後最大規模の支援活動を宣言したことを高く評価。「日本の軍事的役割の正常化を進める原動力ともなるだろう」とした。

今回は、オーストラリアやインドネシア、さらに遠く離れたイギリスでさえ、フィリピンに艦船を派遣するという対応を取った。加えて、オーストラリアは約30億円、イギリスは16億円を支援。日本は無償資金協力分が30億円で、アジア開発銀行基金を通じた緊急支援と合わせると50億円と、現在のところ最大の支援を申し出ている。

それに比して中国は人道支援を渋ったことで、道徳的非難だけでなく、国際社会において正当性を失うのではないかと示唆した。

中国政府は、中国赤十字分を合わせても20万ドル(2千万円)で、19日までに、160万ドル分の救援物資の支援を発表したが、援助の小出しは、いかにも出し渋る感がにじみ出てしまう点でセンスがない。

2010年に日本を抜き、世界第2位の経済大国になったのにもかかわらず、その自覚が低いようだ。

中国が支援を渋る理由は、大きく2つあるだろう。

1つ目としては、フィリピンとの南シナ海の領有権問題をかかえ、国内の「反フィリピン世論」へ配慮した可能性がある。中国のポータルサイト、「騰訊網」のアンケートでは、約84%の回答者がフィリピンへの援助に反対している。そうした中、フィリピンに甘い顔を見せれば、政治生命が揺らぐと見たのかもしれない。

2つ目としては、唯物論国家である中国に、人命の尊重という概念が成立しないということだ。中国の指導者は、天安門事件で示されたように自国の国民のみならず、ウィグル・チベットの弾圧を行い、激しい人権抑圧を行っている。

幸福の科学グループの大川隆法総裁が、2010年5月に収録したトウ小平の霊言では、トウ小平の霊が、人権という概念は「西洋かぶれ」であって「10万人や百万人死んだってどうってことない」と述べている(『アダム・スミス霊言による「新・国富論」』所収)今回の中国の対応は、無神論国家と神を信じる国家の対応の違いをはからずも露わにしたと言える。

ユーラシア・グループのイアン・ブレマー氏は14日付のロイター紙に掲載されたMaking sense of China's meager typhoon aid(中国がフィリピン台風支援金を渋る理由)と題するコラムで、「中国が世界第1位の経済大国になった場合、世界は災害支援をどこに頼るのだろうか、これは台風や地震被害の支援を超える問題だ」と議論を投げかけている。

中国共産党の内部事情のみが優先され、人命や国際社会の正義が疎かにされる世界が到来することは、少し想像しただけでも背筋の寒くなる未来だ。

11月12日に収録された「フィリピン巨大台風の霊的真相を探る」では、今回の台風を起こしたフィリピンの神が登場し、「中国の侵略の意図を警戒し、次の戦争に備えて、アメリカや日本が来やすいように、条件をつくっている」と語った。

フィリピンの神の意図通り、今回の対応によって、日米のプレゼンスは高まり、中国の陰は薄くなったといえるだろう。

日本が、戦後体制を見直して、アジアのリーダーとしてアジア諸国を守るに足る国家に変貌を遂げるならば、世界的な危機の際に頼ることのできる寄る辺となれるのだろう。

日本は、今、まさに選択を迫られているといえよう。(華)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『フィリピン巨大台風の霊的真相を探る』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1052

幸福の科学出版 『アダム・スミス霊言による「新・国富論」』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=78

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2013年11月14日付本欄 フィリピンを助け、中国を封じる日米 台風被害のフィリピンに自衛隊1000人派遣

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2013年9月号記事 欧米にこそ歴史見直しが求められる(ウェブ・バージョン) - 編集長コラム

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6407