日本政府は13日、大型の台風30号の直撃で甚大な被害を受けたフィリピンに、自衛隊を1000人規模で派遣することを決めた。国際緊急援助活動としては、過去最大規模だ。
フィリピン政府の発表によると、14日朝の時点で台風の被害による死者は2357人で、250万人以上は食料の援助が必要な状態。現地では政府の救出・援助活動が遅れて不満や混乱が広がっており、治安の悪化も問題になっている。各国の救援活動の重要さは増すばかりだ。
日本は、海上自衛隊の大型護衛艦「いせ」や輸送艦「おおすみ」、補給艦「とわだ」の3隻に陸上自衛隊の部隊や輸送ヘリを搭載して派遣。航空自衛隊のC130も派遣する。14日には自衛隊の国際緊急援助隊の隊長ら3人が被災地に到着して視察を開始した。
また、フィリピン政府の要請を受け、アメリカも原子力空母のジョージ・ワシントンを派遣。同空母の要員約5000人に加えて、災害救助に対応できるヘリコプターを搭載する。また、沖縄の米軍普天間基地からも、MV22オスプレイやKC130空中給油輸送機を派遣する。これは、東日本大震災の際に米軍が三陸沖に「トモダチ作戦」として派遣した艦隊と同規模の支援である。
日米両国が大規模な災害支援を行うのは、フィリピンとの関係が地域の安定のためにも重要だからだ。フィリピン近海には中国が手を伸ばし、南沙諸島などで領土問題を起こしている。しかしフィリピンは1991年にアメリカ軍を追い出して以降、国防は脆弱だ。海軍はフリゲート艦2隻や小型哨戒船を持つのみで、ミサイルの発射能力はない。また、国防費を削減した結果、空軍も2005年から戦闘機を保有していない。
しかし、近海に迫る中国の脅威を受けて、フィリピンはアメリカに海軍の再常駐を要請しており、韓国からも戦闘機を購入する予定。日本からも海上保安庁の沿岸警備艇10隻の供与を受けることになり、軍備や沿岸警備を再構築している。
これまでに日本は、ODAの一環でフィリピンの沿岸警備隊の育成を支援。今年6月には、日比防衛相会談が行われ、海洋分野と国防分野で協力を促進することで一致。海上自衛隊がフィリピンに寄港する回数を増やしたり、交流を増やすことが決まっている。
頼りのアメリカは、国防費の削減などが要因で、長期的にはアジアから引いていくと予想されている。そんな中、フィリピンが次の頼みの綱として期待するのが日本だ。フィリピンは、日本が集団的自衛権を行使することを支持している。日本はフィリピンをはじめとして、中国の脅威にさらされている東南アジア諸国との協力を一層強めていくべきだ。(晴)
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