外務省が4日までに、「最近の韓国による情報発信」と題する文書をまとめた。

この文書では、昭和40年の日韓請求権・経済協力協定で慰安婦問題に関する請求は「完全かつ最終的に解決済み」であるにもかかわらず、その後1990年代前半以降、「慰安婦問題は請求権協定の対象外」と韓国が請求権に関する態度を変えたことを指摘している。5日付産経新聞が報じた。

韓国が第三国へ積極的に働きかけていることを受け、日本政府も海外広報予算を増やして、対外発信に努めている。これは外務省として当然為すべき仕事であり、「完全に解決済み」であることをしっかりと諸外国にもPRすべきだろう。

ただ、ここで気になるのは、慰安婦問題があったことを前提にしている点だ。

この度の文書で外務省は韓国政府を批判したものの、従軍慰安婦に対する日本政府の考え方は、あくまで河野談話に則ったものだ。そのため、日本政府は機会あるごとに元慰安婦の方々に対し、心からのお詫びと反省の気持ちを表明し、昭和40年に賠償・請求権の問題などを法的に解決した。それに加え、財団法人「女性のためのアジア平和国民基金」を設立し、元従軍慰安婦に対する償い事業をしてきた。

これでは、諸外国は「日本自身が、従軍慰安婦があったことを認めている」としか見えない。アメリカや国際社会が従軍慰安婦問題に関して日本を批判する時は、河野談話を拠り所にしていることからも、この問題を根本的に解決するためには、河野談話を撤回し、そもそも従軍慰安婦問題はなかったことを主張することが必要だろう。

外務省単独で、河野談話の撤回と従軍慰安婦問題がそもそもなかったことを主張することは難しく、政治家の勇気ある行動が不可欠だ。

安倍首相は「安倍談話」の発表に意欲を見せつつも、結局は河野・村山談話を踏襲してしまい、歴史問題から逃げ腰となっている。今こそ安倍首相は初志貫徹し、日本の誇りを取り戻すために立ち上がってほしいものだ。(飯)

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幸福の科学出版 「『河野談話』『村山談話』を斬る!」 大川隆法著

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