不動産大手の三井不動産が農業ベンチャーの「みらい」と組んで、千葉県に国内最大級の植物工場を建設する。28日付日経新聞が報じた。

植物工場の延べ床面積は1200平方メートルになる。投資額の5億円は三井不動産が全額負担し、完成後はみらいが借り受けてレタスやハーブなどを生産し、4月から1日に1万株の出荷を見込む。

植物工場は生産性を高めるため、野菜の種類ごとに養液の濃度や流量などをコントロールするノウハウが必要だが、みらいはLED光を使った野菜の効率的な生産技術に強みを持っている。

葉物野菜の露地栽培は台風などの天候で収穫量に大きな影響を受けるため、三井は葉物野菜を安定して供給できる植物工場の需要が今後増加すると考え、遊休地の有効活用策として企業に提案する。

年間を通して栽培でき、ワンフロアに10段の棚をつくって高密度で栽培できる植物工場の生産効率は、露地栽培の100倍ほどになるという。

矢野経済研究所によると、蛍光灯やLEDなどの人工光を用いた植物工場の野菜の出荷額は、2009年の約40億円から2020年には約300億円と、7倍以上に成長すると見込まれている。

植物工場は使用する水の量を節約できるため、砂漠でもみずみずしい野菜をつくることができ、津波を受けた被災地でも塩害を気にせず農業を行うことができるなど、環境要因に左右されにくい。また、密閉空間で栽培するので無農薬で栽培できるなど、食の安全を求める消費者ニーズにも合致している。

何よりも生産効率が高いので、今後、人類が迎えるであろう食糧危機を救う大きな可能性がある。

大手企業の参入によって、植物工場の普及がいっそう進むことを期待したい。(居)

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