福島県白河市のJA東西しらかわが、植物工場製造の株式会社みらい(千葉県松戸市)と提携して植物工場を建設する。JA(全国農業協同組合)が人工光を使った植物工場を運営するのは全国で初めて。福島県の復興を後押しするとともに、先端農業のスタイルを全国に発信する事例になるとの期待が高まっている。

植物工場の建設は3月末までに開始予定で、11月からレタスや白菜などを1日3000株程度生産する。工場は平屋建てで床面積は550平方メートルだが、複数の段からなるラックで栽培するため、栽培面積は約3倍の1512平方メートル。建物は密閉されているため、細菌が少なく無農薬栽培が可能なうえ、放射性物質の影響も受けない。さらには、腎臓病を持つ人のための低カリウム野菜の生産ができることも特徴だ。

福島県で22日に行われた契約調印式典では、同JAの鈴木昭雄組合長が「原発事故の風評被害を払しょくするため、植物工場の導入を選択した」と挨拶。また、みらいの嶋村茂治社長は「植物工場が農業として認められる第一歩」と期待を寄せている。

風評被害に苦しむ福島県をはじめ、東北地方では植物工場の導入が相次いでいる。福島原発から30キロに位置する福島県川内村では町が植物工場を導入し、今年4月からレタスやハーブなど1日8600株を生産予定。また、東北地方でも仙台平野を中心に植物工場の新設が増えている。

放射能の風評被害が導入のきっかけだというが、植物工場は、東北の復興のチャンスになる。単に震災前と同じ状態に戻すという発想ではなく、より進化した農業を実現することが、東北や日本全体に活力を与えるのだ。

植物工場による農業は、今後の日本経済の成長を促す未来産業の一つだ。東北地方で始まっている未来型農業が、一つのモデルとして全国、そして世界に広がっていくことが期待される。(晴)

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