韓国・朴槿恵大統領が大統領選で掲げた「バラマキ公約」を次々と破棄し、批判が高まっている。

朴氏は、「65歳以上の高齢者全員に月20万ウォン(1万8千円)の基礎年金を支給する」と公約したが、上位30%の所得層を除外し、保険料を払って年金を受け取る国民年金の受給額が多い人は減額して支給するなど、当初の公約より内容を縮小した。公約通りにすると、2040年には必要な財源が157兆ウォン(約14.3兆円)となり、韓国の国家予算の4割以上を占めることになるためだ。

他にも、「がんなど四大疾患の医療費負担を軽減する」「5歳児までの無償保育」「大学授業料を半減する」などのバラマキ政策を並べ、増税せずして福祉を拡充するとうたったが、財政難のために縮小や先送りするなど、公約の修正を余儀なくされている。

国内では「公約詐欺だ」との声が高まっているが、収入を増やす施策はないが福祉だけは充実させるというのは、そもそも矛盾した政策であり、だまされた国民にも責任の一端はあるといえる。

現在韓国で起こっている問題は、近年の日本が経験したことだ。2009年に誕生した民主党政権が「無駄を省けば財源はある」と豪語して「基礎年金を7万円支給する」「高校授業料の実質無償化」「子ども手当てを支給する」などの大盤振る舞い公約を並べ立てたが、ほとんど達成できなかった。それどころか、「4年間は増税しない」と言っていたのに、消費税の増税を決めてしまった。

福祉を充実させようと思えば、増税するという話にならざるを得ない。ただし、増税しても景気が悪化してしまい、思ったように税収が増える保障はない。さらには、お金持ちから税金を取り、自分の足で立てない人にばらまけば、豊かな人、富を生み出す人は誰もいなくなる。

すなわち、福祉国家の行き着く先は、結局みんなが貧しくなる「貧しさの平等」であるということだ。

福祉の拡充という甘いささやきにだまされてはならない。「自分の足で立てる人」を数多く作ることが、本当に多くの人が豊かになる道である。(佳)

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