中国の元重慶市トップの薄キ来氏にこのほど無期懲役判決が宣告された。直後、インターネットの主要ニュースサイトでは薄氏に対する判決支持コメントが殺到したが、寄せられた数十万件のコメントが中国共産党主導のネット工作だとする疑いが出ている。

ネット上では世論を左右するコメントを投稿することで賃金を得る人が存在する。これだけを目的とした会社もあるほどで、各地方自治体などの組織を含めると、中国全体で28万人にのぼると推定されている。ネット工作は中国国内に限らず、海外サイトまで手が及んでいる。

今回のネット工作は、複数のインターネット関係者が明らかにしたことで疑いがおこった(25日付産経新聞)。北京の大手ニュースサイト運営者によると、判決公判の数日前に地元公安局から「白号」と呼ばれる約3万のアカウント以外はすべて「黒号(ブラックリスト)」として書き込みを阻止するよう指示されたという。薄氏は中国政府のネット工作の被害にあったのだ。

しかし、今回無期懲役の判決を宣告された薄氏本人も、重慶市のトップであった時代に同じようなネット工作をしている。工作が発覚したのは、薄氏に対抗して逮捕された元弁護士の李荘氏の裁判をめぐる秘密会合の議事録が、昨年明らかにされたことによる。その内容は、重慶市政府が警察、検察、司法と協力してネット世論の規制・誘導に力を注ぐというものだ。

議事録によると、重慶市政府側は次のような発言をしたらしい。

「(ミニブログの)コメント欄にも力を入れてほしい。専門家の名簿を渡すので、大量にコメントを出しなさい。我々が必要とするコメントは削除しないで残すことを保障する」

日本では考えもつかないことだが、もはや中国でのネット工作は常識と化している。

今回のネット工作事件では中国共産党の体制がいかなるものであるかをよく示している。

一方、カナダのビクトリア大学では、中国のネット工作員を見分ける研究が行われているらしい。その研究論文によると、分析結果に基づいて開発した工作員を見分けるソフトの正確さは88%だそうだ。

ネット工作が存在することは事実だ。しかし、13億人の人口を抱える中国のネット人口を考えると、一党独裁でネットの世界まで管理できるとは思えない。独裁体制の一番恐れることは情報開示だ。インターネットは、悪なる権力による独裁体制を粉砕する現代の武器なのかもしれない。中国共産党はいずれ情報を開示し、民主化を受け入れざるを得なくなるだろう。(徳)

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