小野寺五典防衛相と米国のヘーゲル国防長官が28日に会談し、敵基地攻撃能力について小野寺氏は、「日米の役割分担の一つで、慎重に検討することが大事だ」と述べ、両氏は日本の敵基地攻撃能力の保持について協議を開始することで一致した。10月にも正式に始まる日米の外務・防衛担当閣僚会合で日米防衛協力のための指針の再改定協議で議論していく予定。

敵基地攻撃は、予防攻撃、先制攻撃、攻撃後の反撃がある、日本政府は今回、先制攻撃を想定している。

先制攻撃とは、敵国が日本を攻撃すると判明し、弾道ミサイルに燃料を注入するなどの武力攻撃に着手した段階で、ミサイルを無力化させるために敵基地を攻撃すること。敵国が攻撃を行う明確な意志を示した場合は、現行の憲法や「専守防衛」の原則に当てはまり、国際法でも認められている。

敵基地攻撃能力保持の議論は、年内に策定される新「防衛計画の大綱」の見直しの中で行われており、脅威とする国も変化している。

1976年は旧ソ連を脅威とし、日本の防衛力は最小限にとどめてできるだけ米軍に依拠する傾向があった。その後1995年と2004年には、冷戦後ロシアの脅威が低下し、「米国一強」を前提としていた。そして2010年は、中国・北朝鮮の存在が増し、今回2013年は、離島防衛と弾道ミサイルの発射元を無力化することを目指している。

オバマ大統領は2011年に「アジア太平洋重視政策」を発表し、これがオバマ政権1期目の外交方針になった。しかしオバマ政権が2期目になり、今年2月にケリー国務長官が就任すると、関心は中東に移りつつある。例えば、今夏にケリー国務長官の仲介でイスラエルとパレスチナ自治政府との中東和平交渉を再開し、シリアではアサド政権が化学兵器を使用したとして、オバマ大統領は軍事介入を示唆している。

日本の敵基地攻撃能力の保持について、米政府は7月の日米外務・防衛審議官級協議では、「近隣諸国にどんなメッセージを与えるか考えてほしい」と慎重だった。しかし、今回の前向きな態度への変化は、急速に中東への比重が高まるアメリカにとって、東アジアの安全保障は、同盟国である日本にアメリカの代わりを担ってほしいという考え方もあるのかもしれない。

その文脈で考えると、敵基地攻撃能力の議論を機に、日本がアメリカとの防衛協力体制を保持し続けながらも、「自分の国は自分で守る」防衛態勢に舵を切るのはもちろんのこと、日本に核ミサイルの照準を合わせる“ならず者国家"に対して、「いざという時には先制攻撃も辞さない」という、独立国家として当然の対応をとるべき段階に来たと言える。(飯)

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