安倍首相が8月15日に靖国神社の参拝を見送ったことについて各紙が社説で採り上げている。

産経 「首相が参拝しなかったことは残念だが、春の例大祭への真榊奉納に続いて哀悼の意を表したことは評価したい」

日経 「天皇陛下や首相が静かに参拝できる環境をつくることが大事だ。(中略)あらためて分祀の可能性を探ってみるのも無駄ではあるまい」

朝日 「(首相の)参拝見送りは現実的な判断と言えるだろう」

毎日 「(首相の参拝見送りは)靖国が近隣外交を進める上での大きなネックになっている今、大局的な判断と評価したい」

東京 「(首相の参拝見送りは)慎重な判断をまずは多としたい」

いつものように、産経とそれ以外とで、明確に論調が分かれた。要するに、首相の靖国参拝を肯定しているのは産経一紙で、他はすべて反対しているわけだ。なお、読売は16日付社説では採り上げていない。

ネットオピニオン番組「THE FACT」が7月31日、8月2日の両日、都内で100人を対象に行ったアンケートでは、「安倍首相は靖国参拝すべき」と答えた人は6割にも上った。大手5紙のうち、安倍首相は参拝すべきだとするのは産経1紙だが、民意は大手紙の論調とずいぶん違うようだ。

また、朝日は、15日に行われた政府主催の全国戦没者追悼式で、首相の式辞からアジア諸国への加害責任への反省や哀悼の意を示す言葉が抜け落ち、これまで表明されてきた「不戦の誓い」という表現が使われなかったことを批判している。

ほかにも、三閣僚の参拝の是非、靖国神社の秋や春の例大祭での参拝の是非について論じている。

靖国を堂々と参拝できない安倍首相が、あの手この手で「戦後レジームからの脱却」を図ろうとする一方、そうはさせじと左派系メディアが牽制するという構図が見えてくる。非常に分かりにくいし、不毛な駆け引きだ。

首相サイドとしては、議論を避けるために慎重に動いているのだろう。しかし、戦後70年も経とうとする中、先の大戦の是非を含めて、真正面から議論すべき時期が来ているのではないだろうか。(村)

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