いじめ防止推進法が成立した6月21日以降も、いじめが原因とみられる自殺が2件報道されている。山口県宇部市では9日、過去にいじめを受けていた中3の男子生徒が自宅で首が絞まった状態で死亡しているのが見つかった。また、名古屋市でも10日、中2の男子生徒が「いろんな人から死ねと言われた」と書いた遺書を遺し、飛び降り自殺している。いずれも今後、市教委による調査が始まる見込みだ。

いじめ防止推進法は、2011年に大津市で中学生がいじめを苦に自殺した事件を受けて制定された。加害児童・生徒への処分を明確にしたほか、重大な事態に至った際には、教育委員会などが調査を行うことが義務付けられた。にもかかわらず、悲劇は繰り返されてしまった。

宇部市で死亡した男子生徒は、中学1年の時に同級生らに悪質ないじめを受け、不登校になっていたことがわかっている。今年転校し、新生活を送っていたが、自殺という最悪の結末となった。両親は産経新聞の取材に対し「いじめられた記憶を引きずって、常に恐怖を感じていた。いじめがひどいトラウマを残すことを知ってほしい」と答えている(12日付同紙)。

この言葉を受けて、いじめ解決の専門家で「いじめから子供を守ろうネットワーク」代表の井澤一明氏は同紙に、「特に若年層は立ち直りの機会が少なく、元気に見えても潜在的に苦痛を引きずっている場合が多い」「長所を見つけて自信をつけさせるなど、愛情をかけ続け、孤立させないといった対応が必要だ」とコメントした(同)。

井澤氏は、「日本から、悲しい『いじめ自殺』をなくします」と訴え、今回の参院選に幸福実現党から比例代表として立候補している。自身の12日付フェイスブックでは「いじめ防止対策推進法」について、「この法律では、子供たちを救えない。いじめを放置し、いじめに加担し、いじめ加害者になる教師がいても何らの罰則がない」と批判。教師の処罰を明確にした「いじめ処罰法」制定に向けて、同ネットワークとして活動していくという。

一方、名古屋市の事件では、複数の生徒が、担任教諭が男子生徒に自殺をあおるような発言をしたと証言している。担任は「言っていない」と否定しており、調査が続いている。

いずれの場合も、学校側は、いじめをとめられなかった。長年いじめ相談に携わってきた井澤氏が強く危機感を抱いているのも、教師による「いじめ隠蔽」や「いじめ放置」の問題である。いじめ自殺をなくすためには、加害児童・生徒への処罰だけでなく、いじめ隠しをした教師などの処罰を明確にする「いじめ処罰法」の制定が急務だ。いじめから子供たちを救える井澤氏のような政治家が、今こそ必要とされている。(晴)

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2013年7月10日付本欄 【参院選】幸福実現党・比例の井澤氏 「いじめをなくす」講演が学会誌に掲載

http://the-liberty.com/article.php?item_id=6305

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