原子力規制委員会が定めた原子力発電所の新規制基準が施行された8日、電力会社4社は、計10基の原発の再稼働の審査を申請した。9日付各紙が報じた。

新基準は、審査だけで1基につき半年もかかる厳格なもので、規制委の田中俊一委員長が「世界で一番厳しい」と胸を張るほどだ。規制委はこれから3チームに分かれて原発を審査するが、原発の審査が終わる時期は、早いものでも今年の冬になる見込みで、その後、各電力会社は地域住民への説明会などを開く。現在唯一稼働している大飯原発の3、4号機が今年9月に定期点検に入るため、この冬には稼働する原発がゼロになる情勢だ。

すでに料金を値上げしている関西電力、九州電力、四国電力は、今月にも原発を再稼働すると見込んで価格設定していたため、再稼働が遅れれば、その分、電気代の再値上げの可能性が高まる。

電気代が上がれば、工場などの経営や各家庭のふところ事情を圧迫し、景気を悪化させかねない。その意味で、経済の活性化を訴える安倍政権にとって、原発の再稼働時期は重要な論点のはずだ。にもかかわらず、自民党は今回の参院選の公約で、原発の再稼働について「(規制委の判断で)安全と判断された原発の再稼働については、地元自治体の理解が得られるよう最大限の努力をいたします」と、原発が必要かどうかはっきりさせずに逃げている。そのほかの党は、原発の必要性に目をつむり、十分な議論もしないまま、異口同音に原発ゼロを訴えている。

その中で、正直に「原発が必要だ」と主張しているのは幸福実現党ぐらいだ。同党の公約は「原発の安全性を高めた上で、原子力エネルギーの利用を推進します。原発事故を機に世界最先端の技術へと高め、世界一安全な原発をつくります。安全性が確認された原発は再稼働します」と明言している。

中東では今も、デモや政変が続いているが、原発を減らして火力発電に頼るということは、燃料となる石油を産出する国の政治に、日本のエネルギー事情が左右されるということでもある。第2の"オイルショック"を防ぐためにも、原発は必要なのだ。原発の必要性や再稼働問題は、参院選の争点の一つとして議論を尽くす必要がある。(居)

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