イラン大統領選で、保守穏健派のハッサン・ロハニ元核交渉責任者が当選した。8月に新大統領に就任する。「自由の拡大」「米欧との対話」を唱え、国民経済の立て直しを急ぐことを訴えた氏の当選には、抑圧された国民の大きな願いが込められている。
当選を決めたロハニ氏は得票率50.7%(1861万票)。宗教上の最高指導者で、政治上の最高指導者でもあるハメネイ師に近い、2位のガリバフ・テヘラン市長の同16.6%、3位のジャリリ国家安全保障最高会議書記の同11.4%に大差をつけて勝利した。
選挙戦でロハニ氏は、ハメネイ師ら指導部への忠誠を誓いながらも、核開発に対する欧米の経済制裁で困窮する経済の立て直しを主張。テレビ討論会でも、「遠心分離機(で濃縮ウランを製造すること)は大事だが、国民に十分な生活を提供することも大事だ」(16日付産経)と発言するなど、国民生活の改善に意欲を見せた。
一方で、政治の重要課題の最終決定権をハメネイ師が持つことは変わらないため、核開発も含めたイランの政策に大きな変化は期待できないという指摘もある。
同日付日経は、米ハドソン研究所のヒレル・フラドキン上級研究員の次のような見方を紹介する。「最高指導者ハメネイ師が核開発計画を牛耳っており、ハメネイ師がいなくならない限り、大統領選でどの候補者が勝ってもイランは核開発を進めるだろう」
イランでは、欧米の経済制裁によって物価や失業率の上昇が続いているが、その影響を受けているのは一般の国民であり、日々の食事にも困るような状況がある。だが一方で、宗教指導者や政治家など一部の権力者は、北朝鮮やその他の国々と裏ルートでつながっており、生活は安定していると言われる。結局、「貧しさの平等」を強いられているのは一般国民ということである。
そもそも、イランの国教であるイスラム教の教えは平等性が強く、アッラーの名の下で、個人の自由を軽視する傾向が強い。実際に、最高指導者のハメネイ師は2月の演説の中で、制裁が国民を強くすると語ったが、国民の実情を理解していないことが見て取れる。こうしたことからも、イラン国民が真の幸福や発展を享受するには、政治改革のみならず、イスラム教自体の改革は避けて通れない。
幸福の科学では、イスラム教の開祖であるムハンマド(マホメット)に対して、通信役の天使ガブリエルを通じて啓示を降ろしたアッラーが、どのような存在であるかということを明かしている。イランのみならず、イスラム社会で虐げられている多くの人々を救うためにも、その「真実」を世界に広げることは急務だ。(格)
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2013年6月7日本欄 トルコの反政府デモ拡大 イスラム教に寛容さ求める市民
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2011年2月号本誌記事 宗教でわかる国際政治「キリスト教vs.イスラム教 神々は戦争を望むのか」
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2011年10月号本誌記事 ひと目でわかる4つの宗教─200号記念総力特集「宗教」