ロシアに落下した隕石で1200人以上の負傷者が出たが、この大事件から日本は何を学び取るべきだろうか。

日本は、中国や北朝鮮からのミサイル発射を想定し、ミサイル防衛システムを整備してきたが、隕石に対する「迎撃」についてはまったく想定していない。メートル単位の隕石落下は全世界で年間800個以上と言われており、日本では1992年12月に島根県の民家、96年1月に茨城県つくば市周辺、99年9月に神戸市北区の民家に、いずれも隕石が落下し被害が出た。しかし、その後、有効な対応策は打たれていない。

ただ、隕石落下への対処法は、ミサイル防衛システムとかなり重なる部分がある。現在の天文観測体制では直径45メートル程度の隕石を探知するのが限界。日本にはNPO法人「日本スペースガード協会」があるが、これはあくまでも従来の天文観測から危険な隕石を探知しようという限定された能力しか持っていない。

今回の隕石落下のような直径10メートル程度の小さな隕石を探知するためには、ミサイル防衛システムの一環として日本が整備している「FPS-5レーダー」のような長距離探知レーダーが不可欠だ。

さらに、小さな隕石を迎撃するならば、イージス艦に搭載されている「SM-3発展型迎撃ミサイル」や、弾道ミサイル用の迎撃ミサイル「PAC-3」、そして新たに開発されている長射程も可能な地対空ミサイルなどがある程度機能すると考えていい。

加えて、開発中のレールガンや、化学レーザーを利用したレーザー砲などの指向性兵器によっても迎撃は可能となるだろう。

日本は隕石落下など「宇宙からの脅威」に対する防衛体制の整備を急がなければならない。それはある意味で「宇宙軍」の創設につながる。アメリカも中国も事実上の「宇宙軍」を持っている。日本もそれは技術的に可能であるし、かつ必要なものだ。(弥)

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