日本政府がサウジアラビアとの間で原発輸出の協議に入った。サウジは2030年までに16基の原発をつくる計画があり、日本は国内で批判の強い原子力分野の人材や技術を守り、経済成長にも役立てたい。10日付日経新聞が報じた。

記事によると、茂木敏充・経済産業相は9日、サウジの原発当局のファラジ副総裁と会談し、原子力協力を進めることで合意。原発輸出に向けて、日本はサウジに対して、高度な技術や人材育成、研究開発面で協力する。

一方、人口急増中のサウジは、将来的な電力確保のために原発の導入を検討しており、2030年までに原発16基を建設する計画。同国で採れる原油については、国内で消費するよりも輸出して外貨獲得にあてる考え。両国は、中東有事の際にも、日本に原油の安定供給を維持することを確認したという。

日本は原発事故後の2012年、ヨルダン、ベトナム、ロシア、韓国などと原子力協定を結んでおり、ベトナムはすでに日本に原発を発注済み。こうした状況から、日本の原発技術が世界から信頼されていることが分かる。

新興国への原発輸出は大いに進めるべきだし、中東からの原油輸入を確保する努力も必要だ。しかし、今もっとも急ぐべきは、日本国内の原発を動かすことである。

北海道では極寒のなか節電が要請されており、企業活動や人々の暮らしに支障をきたしている。また、原発の停止によって火力発電所用の燃料費がかさみ、電力各社が次々と電気料金の値上げを決めている。北海道電力川合克彦社長は料金上げに関連し、「抜本的な対応は再稼働が一番いい」と強調している。

最近は、原油の輸送ルートである南シナ海や東シナ海での、中国の軍事的な動きが活発化しているが、ここで有事が起これば、原油が日本に入って来なくなる。安全保障の面からも、今すぐ原発を動かし、電力の安定供給を進めることが重要だ。日本政府は、国内においても早急に「原発推進」を明言すべきである。(晴)

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