17日、大聖堂の儀式用エリアに侵入しプーチン大統領やロシア正教会を批判する歌を歌って逮捕された20代~30代の女性パンクバンド「プッシー・ライオット」のメンバーに、禁固2年の実刑判決が出た。

この事件は今年2月、モスクワのロシア正教会の大聖堂に「プッシー・ライオット(子猫の暴動)」のメンバー5人が覆面姿で忍び込み、聖母マリアに「プーチンを追い出して」などと願う歌を歌ったもの。うち3人が、3月の大統領選の前に「暴徒行為罪」で逮捕されていた。YouTubeに動画が投稿されている。

http://www.youtube.com/watch?v=vk767zriSTw

プーチン大統領は今月2日、この抗議パフォーマンスを「決して善行ではない」としつつも、「彼女たちの行いに対して厳しすぎる罰を与えてはならない」と寛大な判決を提案していた。禁固2年という判決は、流刑地への収容7年という当初の求刑に比べれば「寛大」な扱いをしたということだろう。

この件に関しては大前提として、教会は聖域であり、そこでの勝手な振る舞いは許されないという宗教的常識を押さえる必要がある。3人は「政権と教会の癒着に反対することも狙いだった」と弁明していたが、大統領や教会を批判する言論の自由は認められても、その手段として宗教の聖域を侵すのは神仏と信仰者への冒涜だ。

動画を見ると、メンバーのパフォーマンスは非常識で許し難いものの、ある程度の時間にわたって続けられており、聖域を守る意識が教会側に不足しているとも感じられる。昨今のロシア正教会は政府の保護を受ける代わりに政権批判をしない姿勢を取っており、政治家が教会を人気取りに利用しているとの指摘もある。こうした世俗性が隙となって、今回の事件を呼び込んだ面もあるかもしれない。

何らかの形で政治と関わりを持つことは、現代社会における宗教のあり方として、ある意味、当然だが、一方で宗教的な聖域は神仏との交流の場として、世俗の汚れや不信の輩(やから)から断固、守られねばならない。(晴)

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