シリア情勢が緊迫の度を増している。
昨年3月の反体制運動発生以来、シリア政府は反体制派の弾圧を続けてきたが、ここにきて双方の戦闘が激化し、首都ダマスカス近郊に及んでいる。中国・ロシアの反対により可決の公算は低いとされるが、国連の安全保障理事会は近日中に、同国のアサド大統領退陣を求める決議案を採決に持ち込む見通しだ。
シリアはフセイン時代のイラクと並んで、「アラブ独裁の本場」。数万人の反体制派が犠牲になった1982年の「ハマの虐殺」が有名だが、平時でもその強権ぶりはエジプトの比ではないとされる。エジプト人たちが長年の独裁にも我慢したのは、「シリアよりはまだまし」という思いがあったからとも言われている。
シリアは、レバノンのヒズボラやパレスチナのハマスといったイスラム主義勢力を援助しており、イランなどとともに反米・反イスラエル闘争の"黒幕″として振る舞ってきた。その一方、武装勢力を影響下に置いて統制していることから、シリア政権の崩壊が中東のさらなる不安定化を招くとの危惧も根強い。
そのため、反体制運動が起こった直後には、シリアへの国際的圧力が高まるかどうかについて懐疑的な見方もあった。しかし、その後の展開は思ったよりも早く、国連はすでに昨年10月、シリア政府を非難する決議案を一度採決にかけている(中露の反対により否決)。
また、アラブ連盟は今年1月27日、アサド大統領に退陣勧告の決議をした。そして、アラブと欧米の双方に影響力を持つサウジアラビアが、シリアの在外反体制派組織「シリア国民評議会」を同国の代表機関として承認する約束を交わし、同調する国が増える可能性があるという。シリア包囲網は確実に狭まっている。
長期独裁政権が次々と倒れていく中東の民主化革命――ここには大いなる歴史の流れ、さらには偉大なる神の意図を感じざるをえない。事態がどう推移するかは予断を許さないが、少なくとも、現状のアサド体制をそのまま許すわけにはいかないだろう。中東の自由化の流れは止められないし、止めてはならない。(只)
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