《本記事のポイント》

  • ジャパン・タイムズ紙が、いじめによる子供の自殺問題を取り上げた
  • 特に、学校や教育委員会によるいじめの隠ぺいに焦点を当てている
  • いじめ問題解決に向けて、継続的な発信が必要

日本の英字新聞であるジャパン・タイムズ紙がこのほど、若者の自殺問題について、数ページにわたり記事を掲載した。その中で、本誌でも連載を執筆していた、一般財団法人「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」代表・井澤一明氏も紹介されている(10日付ジャパン・タイムズ)。

記事そのものは9月10日の世界自殺予防デーに合わせたもの。新学期が始まる9月1日に子供の自殺が増えていることに言及し、日本のいじめ問題を取り上げた。

特に、学校や教育委員会によるいじめの隠ぺいに焦点が当てられている。「尾木ママ」の愛称で知られる、教育評論家の尾木直樹氏や、実際にいじめで子供を亡くしたという両親などが、いじめの隠ぺいを図る学校や教育委員会への憤りを示した。

いじめ問題の解決を目指して創設された、特定非営利活動法人「ジェントル・ハート・プロジェクト」の創始者、小森新一郎氏は娘の香澄さんを15歳で亡くした。生前、香澄さんは学校で問題を抱えていると訴えていたため、母親の美登里さんは12回も学校を訪れ問題の解決を掛け合っていたという。しかし、香澄さんの死後、学校はいじめがあった事実を否定した。

隠ぺいについて新一郎氏は同紙のインタビューでこう述べる。

「私たちはただ真実を知りたかっただけです。しかし、真実が明かされれば、学校側が娘の自殺を防ぐ対策を何ら行っていなかったということがばれてしまうため、学校は私たちに真実を知られたくなかったのです」「体面を守ることは失われた命と比較して何の意味も持ちません」

「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」代表の井澤氏は、2013年に成立したいじめ防止法に教師に対する罰則規定が設けられていないことを問題視している。井澤氏は5000人以上の子供からいじめに関する相談を受け、いじめ問題の専門家として全国で講演を行っている。同紙のインタビューに対して、このように答えている。

「法律に罰則を設けてもいじめが根絶されるわけではないということは分かっています。しかし、教師がいじめをやめさせようとしていないのではないかと考えています」「教師が直面する結果は、実際に起こっていることと比較してあまりに軽すぎるのではないでしょうか」

いじめという一方的な暴力により、子供の命が失われることがあってはならない。一人でも多くの命を救うためには、より多くの人の問題意識が求められる。加えて、学校や教育委員会による隠ぺいを減らすためには、井澤氏が指摘するように、明確な罰則規定も盛り込んだ法整備が急務だろう。

(片岡眞有子)

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