《本記事のポイント》

  • 管理社会を描くアニメが注目を集めている
  • 現実の日本にも管理社会の波が押し寄せつつある
  • 目的のために手段が正当化される危険性

累計1000万ダウンロードを超えるマンガアプリ「マンガボックス」の人気タイトル「恋と嘘」が、7月から東京MXテレビで放送されている。同作は10月14日にも、女優の森川葵が主演する実写映画の公開を控えており、注目を集めている。

アニメでは、超・少子化対策基本法、通称「ゆかり法」によって、政府が国民の遺伝子情報をすべて把握し、それを元に16歳になった男女の最適な結婚相手を決める。

主人公の男子高校生は、16歳の誕生日を迎えた当日、好きな子への告白に成功するが、その直後、政府から結婚相手の通知を受け取り、その相手が好きな子ではないことが判明。主人公は、好きな子と両想いであるのに、その恋は許されない中で生活せざるを得なくなるというものだ。

日本にも管理社会の波が……

現実の日本でも、出生率が低く、人口減少が懸念され、対策の必要性が議論されている。もちろん、政府が結婚相手を決める政策が実施される可能性は低いだろうが、政府が個人情報を集め、個人の自由に介入する、いわゆる「管理社会」の波が押し寄せつつあるのは事実だ。

その一つが、「マイナンバー制度」だ。

マイナンバーにより、行政手続きがスムーズになり、脱税を防ぐことができると言われているが、それは、国民の財産状況をチェックできるようになる、ということでもある。この制度を拡大利用すれば、政府は「国民が何を、どこで、いつ買ったのか」までも把握でき、個人のプライバシーは無くなってしまいかねない。

目的のために手段が正当化される社会

もう1つは「テロ等準備罪」、いわゆる「共謀罪」を新設した改正組織犯罪処罰法である。

イスラム過激派等による海外のテロ事件を受け、政府は犯罪を予防するため、同法を成立させた。しかし、同法を恣意的に運用すれば、反政府的なデモ活動を行うことを計画し、その準備をするだけで捕まえられる可能性がある。もちろん、テロ対策は必要だが、憲法が保障する思想・信条の自由や結社の自由も侵される危険性が十分にあるわけだ。

アニメでは、少子化対策という目的のために、手段が正当化されている。結果的に、個人の自由を奪う全体主義的な考えを実現した世界と言っていい。少子化対策やテロ対策という美名に惑わされず、思想・信条などの自由を守る観点についても考える必要がある。(得)

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