《本記事のポイント》

  • 韓国が、平昌五輪の北朝鮮との共催を検討している。
  • 「対話」では、根本的な問題解決にはならない。
  • 北のミサイルがアメリカに届くようになってからでは遅い。

2018年に韓国の平昌(ピョンチャン)で開かれる冬季五輪について、文在寅(ムン・ジェイン)政権が、北朝鮮との「南北共催」を検討している。

韓国の聯合ニュースによると、平昌の施設を訪れた文政権の都鐘煥(ト・ジョンファン)・文化体育観光相は20日、北朝鮮の平壌や開城を経由する聖火リレー構想について、「IOC(国際オリンピック委員会)と協力し、実現に努力してゆきたい」と述べた。

文大統領とIOCのバッハ会長は7月3日にもソウルで会談する予定で、南北の「共催」案も議題に上る見通し。

金正恩氏の肝いりで造られたスキー場で開催を検討

聖火リレーに加え、共催競技にはアイスホッケーやスキーなども含まれているが、スキーについては、その一部を、金正恩(キム・ジョンウン)・党委員長の肝いりで建設された北朝鮮の馬息嶺(マシクリョン)スキー場で行うことを検討。

都氏は、「(スキー場を)直接見てみたい。可能なら活用する方向で検討する」と北朝鮮開催に意欲を示している。

韓国統一省は文氏の「対話」路線に沿って、民間のスポーツ交流を促進する方針を示しているが、実際に北朝鮮との共催となれば話は大きく変わってくる。なぜなら、世界中から観客が集まることで、金政権に多額の外貨収入をもたらす可能性があるからだ。

それはもはや「交流」といったレベルを超え、これまで各国が行ってきた北朝鮮に対する経済制裁を無意味なものにしてしまう。

大統領選で文氏は、開城工業団地の再稼働など驚くほど北朝鮮に優しい政策を掲げたが、文氏が大統領就任した翌週から、北朝鮮は4週連続でミサイル実験を行っている。この時点で、北朝鮮の脅威を「対話」で解消することは無理と判断すべきだろう。

30億ドルの支援が、「核・ミサイル」となって返ってきた

しかし文氏は、北朝鮮との対話で、「北朝鮮の態度の変化があってはじめて可能だということを(韓国が)示さなければならない」(産経ニュース)と述べており、今回の「スポーツ交流」を通じて北朝鮮の対応の変化を期待している。

だが、この「対話」路線は、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代に、すでに失敗であることが証明されている。

両政権時には、「太陽政策」として、約30億ドルの資金が北朝鮮に流れ、その外貨が、現在、核・ミサイルとなって周辺国に脅威を与えている。(参考:『韓国人に生まれなくてよかった』)

「対話が成り立つ相手か否か、考えるべき」

さらに、文氏は、慰安婦問題をめぐる日韓合意について、日本に「法的責任と謝罪」を要求、歴史戦で日本に敵意をむき出しにしている。

周辺国をミサイルで脅す北朝鮮と仲良くする一方、東アジアの平和を守ろうとする民主主義国の日本を敵視する文氏の判断は、明らかに間違っている。

大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『永遠なるものを求めて』で、北朝鮮がミサイル実験を続ける理由について、こう述べている。

『対話したければ北の軍門に下れ』という意思表示にも取れるかと考えられます。(中略)『対話をする』と言われると、"平和"のような気がするのですが、それは相手によります。それがどういう相手であるかによって、対話が成り立つか、成り立たないかということは考えたほうがよいでしょう

国際秩序を破壊する北朝鮮には、対話ではなく、毅然とした態度で臨まなければならない。数年後、北朝鮮はアメリカ本土にまで届くミサイルを完成させると言われているが、そうなってから対応しても手遅れになる。日本に残された時間は少ない。(智)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『文在寅 韓国新大統領守護霊インタビュー』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1860

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