《本記事のポイント》
- 香港当局は、雨傘革命を主導したリーダーらを起訴する方針
- 起訴は"親中派"行政長官の誕生と関係?
- 香港への支配を強める共産党政府に対して、日本も異議を唱えるべき
香港当局が、2014年の大規模デモ「雨傘革命」を主導したリーダーたちの、少なくとも9人を起訴する考えであることが27日、警察当局より連絡を受けたリーダーらの発信によって明らかになった。
罪状は、雨傘革命の際に幹線道路を占拠するなどして、市民生活を妨げたとする「公衆妨害」容疑で、最高刑は禁固7年。9人は、デモを提唱した戴耀廷・香港大准教授ら3人と元学生リーダー、民主派の議員などだ。
当局の圧力に対し、民主化運動のリーダーたちは、「我々は雨傘運動に参加できたことを誇りに思う」「抑圧されればされるほど、それだけ大きくリバウンドする」などと語り、今後も民主化運動を継続する意思を示した。
香港への支配を強める中国共産党政府
2年以上も前の出来事をもとにした突然の起訴は、不可解そのもの。この動きをいぶかしがるのも当然であるが、これは親中派の林鄭月娥 (キャリー・ラム) 氏が、26日に行政長官に当選したことと無関係ではないだろう。
というのも、林鄭氏は雨傘革命のデモ隊に対して強硬姿勢を示す、「北京の代弁者」と評される人物。民主運動家の反発は必至であった。
また、選挙1週間前に行われた市民6万人以上による模擬投票では、穏健派の曽俊華・前財政長官への支持が90%を上回り、林鄭氏への支持はわずか1.5%だった。香港大学の世論調査でも、曽氏の支持率が56%なのに対し、林鄭氏は30%ほどであったという。
つまり、民意とかけ離れていた人物が行政のトップに誕生していたことで、雨傘革命のようなデモが再び起きる可能性が浮上していた。そこで当局は、民主化運動を封じるために、起訴に踏み切る考えを示したと見られる。
民意に反する選挙は、行政長官が市民の「直接投票」ではなく、親中派が多数を占める「選挙委員会」の投票で決定されるという「間接選挙」に起因する。香港メディアによれば、選挙委員会のメンバーは、中国共産党の政治家から事前に林鄭氏への投票を求められていたという。
あらゆる手段を用いて"反乱分子"を排除しようとする中国共産党に対して、香港の民主運動家たちは戦い続ける意思を示した。信条の自由や表現の自由などを認めず、政府の支配下に置かれている市民が隣国にいるという事実を、まず日本国民一人ひとりは認識する必要があるだろう。さらに、そうした活動家を支援し、中国共産党政府の横暴をとどめることも、民主主義国家・日本の使命といえよう。
(片岡眞有子)
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