香港の立法会(議会)は26日、9月の選挙で当選した反中政党「青年新政」の梁頌恒氏と游けい禎氏に対し、議場からの退場を命じた。梁氏と游氏は、2014年に行政長官選挙の民主化を求めた「雨傘革命」のリーダーだった。

2人は10月中旬に行われた就任宣誓の際、「香港は中国の一部ではない」と記した旗を議会に持ち込んだり、宣誓で「中国」という言葉を侮辱的な言葉に置き換えたため、宣誓が無効になった。

香港政府は、2人の宣誓は「香港は中国の一部」とする香港基本法(憲法)に違反しており、2人は議員資格を失ったと、高裁にその司法判断を求めた。これに対し、民主派は、立法府である立法会に行政府である香港政府が干渉したとして、「三権分立に反する」と反発を強めている。

2人は再宣誓を求めていたが、梁君彦議長は高裁での司法判断がつくまで、再宣誓を先送りすると発表した。

香港で広がる民主派支持

自由と民主主義の価値を知る香港で、民主派の議員が強制退場させられたことは、大変残念だ。物議をかもすこと必至の旗を持ち込んだことは、議会の場にふさわしくなかったかもしれないが、選挙で当選した議員に対して、再宣誓を求めているにもかかわらず議員資格を失ったとするのは、民意を無視することになる。また、中国政府の意向に反する議員を排除するだけでは、何の解決にもならないだろう。

香港は、「一国二制度」の下、2047年まで高度な自治が保証されているはずだ。だが、中国による香港への締めつけは日に日に強まっている。

9月の選挙では、中国からの独立を訴えたため、出馬を認められなかった候補も複数いた。また香港政府は、学校内で独立についての議論をしないよう、指導を強めている。

10月上旬には、雨傘革命のリーダーで、タイで講演予定だった黄之鋒氏が、香港に強制送還される事件もあった。黄氏は「中国本土に入っていないにも関わらず、まさか、海外で警察に拘束され、拘留所にいれられるなどとは、予想だにしていませんでした」と語っている(6日付記事参照)。

香港の自由と繁栄を守れ

大川隆法・幸福の科学総裁は2011年、香港で英語講演「The Fact and The Truth」を行い、次のように指摘した。

あなたがたは、中国人のリーダーなのです。もし、香港人が多くの中国人を未来へと導くことができれば、この国の人々をより幸福にしていくことができるでしょう。世界の平和と世界の繁栄は中国が平和的な国になるかどうかにかかっています

中国人の幸福は、香港にかかっているとも言える。香港の人々が、自由と繁栄を守り、それを中国本土にも広めることができるよう、日本を含む国際社会は、協力を惜しんではならない。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『大川隆法 フィリピン・香港 巡錫の軌跡』 〔監修〕大川隆法/(宗)幸福の科学 編

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=27

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