馬場 正尊
プロフィール
(ばば・まさたか)1968年佐賀県生まれ。早稲田大学大学院卒。博報堂に入社後、同大学大学院博士課程に復学し、雑誌『A』編集長などを経て、建築設計事務所「Open A」を設立。著書に『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』(学芸出版社)などがある。
「規制が、経済成長のネック」と言われることは多い。ただ本当のネックは、国民の側にその実感が薄いことかもしれない。
多くの人は、「すでに規制をクリアした事業」という枠の中で働き、給料を貰う。そのため、規制については、消費税などと比べて、あまり身近に感じられない。
規制の壁で、本来生まれるはずの富がみすみす消えていく――。その様子を、目の当たりにしている建築家・馬場正尊氏に、「規制の現場」について話を聞いた。今回は後編。
(前編 http://the-liberty.com/article.php?item_id=11920 )
※ニッポンの不思議な規制を募集しています。今まで見聞きした理不尽な規制や、規制に泣かされた人のエピソードなどをご存知の方は、 info@the-liberty.com までお声をお寄せ下さい。
潰れかけた「まち興し」プロジェクト
馬場正尊(以下、馬): 問題なのは、「役所の担当者によって、規制をクリアしているかどうかの判断が一定ではない」ということです。担当者の胸先三寸で、イエスになったりノーになったり、平気でするんです。
例えば東北地方のある街に、かつて料亭だった木造建築がありました。市が持っている歴史的な建物です。ここがずっと空き家になっていたのですが、「町のシンボルだから再生したい」という相談がありました。
そこで、「飲食と物販が混在する、味のある施設として再生しよう」という話になりました。