馬場 正尊
プロフィール
(ばば・まさたか)1968年佐賀県生まれ。早稲田大学大学院卒。博報堂に入社後、同大学大学院博士課程に復学し、雑誌『A』編集長などを経て、建築設計事務所「Open A」を設立。著書に『PUBLIC DESIGN 新しい公共空間のつくりかた』(学芸出版社)などがある。
「規制が、経済成長のネック」と言われることは多い。ただ本当のネックは、有権者の中でその実感が薄いことかもしれない。
多くの人は、「すでに規制をクリアした事業」という枠の中で働き、給料をもらう。そのため、規制緩和の議論は、消費税などと比べ、どうしても遠い話に聞こえるだろう。
規制の壁で、本来生まれたはずの富がみすみす消えていく――。その様子を、目の当たりにしている建築家・馬場正尊氏に、「規制の現場」について話を聞いた。今回は前編。
※ニッポンの不思議な規制を募集しています。今まで見聞きした理不尽な規制や、規制に泣かされた人のエピソードなどをご存知の方は、 info@the-liberty.com までお声をお寄せ下さい。
馬場正尊(以下、馬): 新しい空間づくりをしていると、さまざまな規制にぶつかります。
最近話題の「民泊」に近い例をご紹介します。今、日本中の地方都市は、「空き家」の増加に苦しんでいます。そこで私たちは、「空き家」を宿泊施設に変える、という可能性を探っています。
空き家&雇用問題を一挙に解決する事業も……
馬: 想像してみて欲しいのですが……
田舎の町に、広大な田んぼが広がっているとします。そこにポンと一軒、空き家がありました。その庭からは、美しい田んぼがブワーッと見えている――。