「幸福見送りなら自民1人区25勝」――。
12日付の新聞各紙が、参院選の結果分析に多くの紙面を割く中で、産経新聞が上記の見出しで興味深い記事を掲載した。
記事によれば、当選者が1人しか選ばれない「1人区」において、自民党、野党4党、幸福実現党の候補という三つ巴の構図があった。
もし、幸福実現党が候補の擁立を見送っていれば、同党の候補者が得た票が自民党に上乗せされ、自民党が接戦の末に野党連合に敗れた4選挙区で勝利し、単独過半数を確保できていた計算になるという。4選挙区とは、青森、新潟、三重、大分だ。
さらに、同紙は「自民党は事前に接戦が予想された8選挙区のうち7選挙区で敗れたが、政策が近い幸福実現党と連携すれば違った結果が出た可能性がある」と指摘している。
幸福実現党は、自民党の「代替政党」ではない
こうした状況は、各選挙区において幸福実現党がキャスティングボートを握り始めたことを示している。ただ、記事が伝える票数の足し引きからは、本質的な議論が抜け落ちている。
幸福実現党は、自民党の「代替政党」ではない。
幸福実現党が2009年春に立党した大きな理由の一つに、自民党に「限界」が来ていることがあった。当時、北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したにもかかわらず、自民党は国防強化を訴えることに及び腰で、その年の夏の衆院選でも、争点にすることを避けた。
また、長らく自民党は、政権を維持するために、補助金や助成金などを与える代わりに、票を得る「合法的買収」を続けてきた。その結果が、1000兆円の財政赤字である。
この点について、幸福実現党は今回の参院選で、「国の借金でなく、自民党の借金である」と指摘。与党でも野党連合でもない、「新しい選択」を有権者に示し、「減税からの景気回復」「国防の強化」などを掲げ、全国に候補を擁立した。
幸福実現党の政策を後追いする自民党
そもそも自民党は、幸福実現党が掲げた政策を後追いしてきた事実がある。米軍基地の辺野古移転、原発再稼働の推進、TPPへの参加など、幸福実現党が掲げた政策への風当たりを見定めてから、それを後追いしてきた。
選挙から一夜明けた11日の会見でも、同じ状況が見られた。
安倍晋三首相は、今後の経済対策について「キーワードは『未来への投資』だ。未来の成長の種に大胆に投資する」と述べた。
具体的には、リニア中央新幹線の全線開業の最大8年間の前倒し、全国に農水産物や食料の輸出対応型施設を建設し、外国人観光客を呼び込むために、クルーズ船を受け入れる港湾施設の整備などを挙げた(12日付産経新聞)。経済発展に必要な分野に大胆な投資を行うことは歓迎すべきだ。
しかし、幸福実現党は、リニアを含めた未来産業分野への大胆な投資や、農業の輸出推進の必要性を訴え続けてきた。この点においても、「後追い」感がぬぐえない。
参院選で幸福実現党は、日本を取り巻く国際状況から冷静に判断して、憲法9条の改正は急務であり、防衛予算の倍増や抑止力強化のための核装備の検討を進めるべきだと訴えてきた。一方で、安倍首相は悲願であるはずの憲法改正についてほとんど語らず、「争点隠し」を続けた。
幸福実現党が善戦したのは、国防や経済、歴史問題でも正論を訴え続けたからであり、日本の未来に責任を取る「真正保守・未来型政党」として、有権者に期待を抱かせたからだろう。
(小林真由美)
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2016年7月11日付本欄 【参院選】無風選挙の中で正論を言い続けた幸福実現党
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2016年6月号 立党7周年 日本と世界をリードした幸福実現党
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2014年6月号 自民党が選挙後 幸福実現党を後追いする理由