10日に投開票された参院選は、自民党の勝利に終わった。改憲勢力は3分の2を獲得し、今後、憲法改正の発議に踏み込めるかが注目される。

話題は自民党と野党統一候補の対決くらいで、ほとんど大方の予想通りの結果となった無風の選挙の中、注目したいのが幸福実現党の善戦だ。

同党は、比例区で36万6815票を獲得し、得票率は0.65%となった。3年前の参院選から2倍近く伸ばした。

全国の選挙区では、96万3585票を獲得。7つの選挙区で3万票以上となり、3年前の5倍以上に増やした選挙区もあり、トータルの得票率は1.71%となった。

幸福実現党は選挙区、比例区ともに過去最高の得票率となった。

日本にとって必要なことを言い続けた

幸福実現党が得票を伸ばしたのは、日本にとって必要なことを正直に訴え続けたことにあるだろう。国防面では、7年前の立党時から国防の強化を訴え続け、北朝鮮の核ミサイルに警鐘を鳴らしてきた。

今回の選挙では、日本の安全保障について考えざるを得ないような出来事が起こった。

公示直前には、中国海軍の軍艦が鹿児島県・口永良部島沖の領海に侵入し、日本を挑発した。選挙前で強硬手段に出られない政府の足元を見てのことだろう。

さらに選挙戦最終日には、北朝鮮が日本海でSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射実験を行った。安倍晋三首相は、「国際社会ともしっかり連携を取りながら、断固として北朝鮮を糾弾していかなければならない」と非難する一方、「直接日本の安全保障に大きな影響を及ぼすものではない」とも述べた。

北朝鮮の軍事技術が向上し、危険が高まっていることは事実であり、だからこそ備えが必要だ。「大きな影響」が出てからでは遅すぎる。

幸福実現党は憲法9条改正や防衛予算の倍増、抑止力強化のための核装備の検討など、具体的かつ現実的な国防強化の政策を訴えてきたが、この点について、自民党はあえて争点化を避けた。

まず景気を回復させる決意

経済面でも思わぬ出来事が起きた。

公示2日後にはイギリスが国民投票でEU離脱の意思表示をしたため、世界経済が混乱。英ポンドへの信頼が落ちて円が買われ、円高となったが、金融政策に頼り、円安・株高を演出しようとする安倍首相の経済政策の限界を物語っている。

やはり、実体経済を強くするための具体的な経済政策が必要となる。

税収をいかに分配するかという議論が中心となるなか、幸福実現党は具体的な経済政策として、消費税を5%に減税し、GDPの6割を占める個人消費を活性化させるべきだと主張した。さらに、交通インフラの整備や、規制緩和による新産業創出などの政策も掲げた。

世界の平和・繁栄に構築できる日本へ

今回の参院選の結果を受けて、幸福実現党は以下のような声明を発表した。

「当選はならなかったものの、わが党の『正論』は、有権者の皆さまに一定の支持をいただいたものと考えます」「わが党は、この国を守り抜くとともに、日本を世界の平和・繁栄の構築に貢献できる国家へと飛躍させるべく、引き続き活動を展開してまいる所存です」

目の前の生活をよくすることは大切な政治の役割だ。だが、それだけにとらわれて、大きなビジョンを描けないために、日本の成長が止まっていると見ることもできる。

世界には紛争や貧困などの問題が噴出している。日本の国力からすれば、「一国平和主義」や「一国繁栄主義」に甘んじていることは許されない。「世界の平和・繁栄の構築に貢献する」という国家ビジョンこそ、今の日本に必要なものなのかもしれない。

(小川佳世子)

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