主要7カ国の首脳会議「伊勢志摩サミット」が開幕した。

オバマ氏の広島訪問などが注目される今回のサミットだが、前日の25日、安倍首相は読売新聞の英字紙「The Japan News」に寄稿し、世界に対してメッセージを発信。世界経済の発展のために、日本の経済を再生させたアベノミクス「金融政策、財政政策、構造改革」の3本の矢を世界に広めることが必要だと主張している。

3本の矢はそもそも成功したか?

確かに、アベノミクスは一定の成果を出した。第一の矢である「金融政策」によって、日銀は貨幣の流通量を増やし、その結果、株価は一時、二万円台まで回復した。また、道路や鉄道の整備など、第二の矢にあたる財政出動も積極的に行い、一時は景気が回復してきたかのような雰囲気が漂っていた。

しかし、第三の矢である「構造改革」は不十分だ。結局、農業や医療など、多大な規制がかかった分野における規制緩和は不十分なままで潰えてしまった。アベノミクス・新三本の矢では、「構造改革」は陰に隠れたままである。

そもそもアベノミクスが目指すところは、民間の消費、投資を刺激し、不況を脱することだったはずだ。しかし経済成長の先行きは暗いままで、それに消費増税が追い打ちをかけ、8%に低下した後には経済成長が止まってしまった。

日本に必要なのは、消費や投資を活性化させることだ。新しい産業やサービスを産み出し、日本の国内の投資、消費を活性化させて、(お金の)回転率を上げていかなければ、経済成長はできない。

そのお金の回転を遅らせるのが、様々な規制だ。例えば、金融庁の審査や融資の審査などと、審査にかなり長い時間がかかる。金融庁の監視があるため、銀行が貸し渋りをしている面もある。日本国内の資金の回転率は低く抑えられ、投資がうまくいかないのだ。

また、許認可行政が横行して、新たな産業やサービスがでてくることを抑えている面がある。クロネコヤマトも2015年、メール便が郵便法に反しているとされ、サービスをやめてしまうに至った。

安倍首相が唱えたアベノミクス3本の矢の方向性は正しかった。しかし、根本的には、民間の努力を活性化させるという、根本的な哲学があやふやなままだったために、日本経済が再生するに至ってはいない。さらなる発展を実現するために、規制緩和を進めるべきである。(増)

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