未来の移動手段の実現に向けた研究開発が"加速"している。

米ベンチャーのハイパーループワンはこのほど、アメリカ・ネバダ州の砂漠地帯で、高速輸送システム「ハイパーループ」の走行実験を実施した。

ハイパーループ計画とは、チューブ状の鋼管を引き、その中に列車を浮かせ走らせる構想。この計画は、電気自動車の製造販売を手掛けるテスラモーターズ、民間宇宙開発ベンチャーSpaceXを率いる、イーロン・マスク氏によって2013年、発表された。

今回は、屋外に設けられたレール上で、推進システムがテストされた。浮上させる前段階ではあるが、わずか4秒間の走行で、時速186キロを達成したという。

「空気」を使って浮く

この高速移動を支えているのが「空気」だ。

チューブ内に入れられた列車は、先頭車両に装着したファンで空気を吸い込み、真空状態に近い状態にすることで、空気抵抗を下げる。その空気は、列車の底から圧縮して排出されることで、列車が浮く。その後、減圧されたチューブの中を、磁力などを利用して、高速移動する。

ハイパーループでは、宙に浮く分、摩擦によるエネルギーの損失が少ない。

また、走行に必要なエネルギーは、チューブの天井に搭載されたバッテリーやソーラーパネルから供給され、夜間や天気が悪い時でも問題ないという。

東京―大阪間ならば20分

ハイパーループが完成すれば、都市間の移動時間が圧倒的に短縮される。

ハイパーループは、時速700マイル(時速1126キロ)と、音速並みの速度で走行する。車で約6時間かかるサンフランシスコ―ロサンゼルス間を30分、東京―大阪間ならば20分ほどで移動できる。

アメリカの車社会を変えるか

また、ハイパーループで、アメリカの全ての主要都市をつなぐという構想も描かれている。

日本以上に車社会であるアメリカ。実現すれば、大都市間の人の流れが増え、巨大な経済圏が誕生する可能性がある。

ハイパーループワンの研究チームは今後、地震に耐えるための安全性の向上、乗り物酔いへの対策など、2019~21年の運用開始に向けた課題解決に取り組んでいく。

リニア新幹線やハイパーループなど、高速輸送システムの研究開発の今後の展開に期待が膨らむ。

(冨野勝寛)

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