九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県)の運転差し止めを求める仮処分申請に対し、福岡高裁の宮崎支部は6日、運転差し止めを認めない判決を下した。

高裁支部は、「(ゼロリスクに基づいた)安全確保を想定すべきであるとの社会通念は確立していない」と指摘。原子力規制委員会の安全基準を認め、行政判断を重視する姿勢を見せた。

3月には、規制委の基準をクリアしていた関西電力の高浜原発3、4号機(福井県)が、大津地裁に運転差し止めの判決を受けていた。

ゼロリスクはありえない

大津地裁の決定と正反対となった今回の司法判断は、妥当なものと言える。

何をするにしても、リスクが完全にゼロになることはない。原発で事故が起こる可能性はゼロではないが、それは火力発電でも、水力発電でも同じことだ。そうしたリスクを計算した上で、必要かどうかの判断をする必要がある。感情的に反対するべきことではない。

また、原発の再稼働に関しては、2014年4月に閣議決定したエネルギー基本計画で、「原子力規制委員会によって、世界で最も厳しい規制基準に適合すると認められた場合には、原子力発電所の再稼働を進める」との方針が示されていた。

実際のところ、この規制基準は厳しすぎるくらいだが、これ以上の厳しさを求めるなら、原発を止めざるを得なくなる。

国の責任で原発再稼働を

現在のところ、日本で稼働している原発は、川内原発の2基のみ。加えて、日本各地で、運転差し止めを求める訴訟や仮処分申し立てが起きている。アメリカでは昨年8月、全99基のうち原発の平均稼働率が約98%だったことを考えれば、日本の状況は異常だ。中国などからロビイストが入っているとの噂もある。

政府は、「国の責任で原発を再稼働させる」と表明している。それを実行し、規制委の基準を満たした原発の再稼働を速やかに進めていく必要がある。

(山本泉)

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