稀代の小説家・司馬遼太郎が亡くなってから、12日で20年が経つ。今月、司馬を偲ぶシンポジウムが開かれたり、NHK番組が放送される予定であるなど、司馬の功績が改めて注目されている。
司馬は1960年に、『梟の城』で直木賞を受賞し、一躍有名となった。『竜馬がゆく』や『国盗り物語』『花神』『功名が辻』などのヒット作品を手がけ、これらはいずれも、NHK大河ドラマの原作にもなった。独自の視点から大局的に歴史を捉えた作風は、「司馬史観」と称され、「国民的作家」の名をほしいままにした。
今も多くの経営者が座右の書に挙げるのは、日露戦争をテーマにした『坂の上の雲』。ソフトバンク社長の孫正義氏も、『竜馬がゆく』と公言している。なぜ、司馬の作品は、これほど人気があるのか。
「英雄史観」で左翼史観に対抗
司馬の魅力について、大川隆法・幸福の科学グループ総裁は、こう語っている。
「 彼の作品においては、『日本という国の歴史のなかに英雄が現れ、その時代と国とを変えていく』ということの醍醐味が描かれ、これが、少年心を持って大きくなったような大人たちを揺さぶるところがあります。そして、彼の作品は、先の戦争に敗北して打ちのめされた、戦後の日本人に対して、勇気を与えました。このことが非常に大きいと思うのです 」(『司馬遼太郎なら、この国の未来をどう見るか』)
戦後、蔓延した左翼史観では、偉人の凡人性を強調して、「偉人は偉くも何でもない」という発想を打ち出しがちだ。そうした歴史観に対して、司馬は「天命に基づいた尊い人間はいる」という切り口をもとに、ペン1本で立ち向かったと言える。
歴史観は人の心を動かす
歴史学者の磯田道史氏は、ここ200年の歴史観を変えた人物として3人の名を挙げ、その中に司馬を挙げている。残りの2人は、幕末の尊皇攘夷運動に火をつけた歴史家・頼山陽。そして、戦前、欧米列強に対抗する日本人を勇気づけた、ジャーナリスト・徳富蘇峰だ。いずれも共通するのが、人々の心を突き動かしたことにある。
現代人の中には、「歴史を学ばなくてもいい」「歴史を知らなくても困らない」などと思う人は少なくない。だが、ペンで生み出された歴史観によって、まさに歴史が動かされてきた流れを見逃してはならない。その意味で、「歴史をつくった歴史家」としての司馬の功績は、後世にも語り継がれるだろう。
(山本慧)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『司馬遼太郎なら、この国の未来をどう見るか』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=786
幸福の科学出版 『新・神国日本の精神』 大川咲也加著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1628
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