1830年の「フランス7月革命」を描いた絵。

今年の干支は、申年だ。しかし、単なる申年ではない。2016年は、1956年以来となる「丙申(ひのえさる)の年」に当たり、暦から見れば、「革命の年」だとされる。「丙」の古来の意味は、「かまどの火のもえるさま」。

昨年では、イスラム過激派組織「イスラム国」によるテロ事件や、欧州の難民問題、安保法制をめぐる憲法論争などが起き、様々な価値観の対立が鮮明化した。

今年は、そうした対立が根深くなる「暴力革命」の年になるのか、それとも、「対立解消へと向かう革命の年」になるのかに、注目すべきだろう。

1956年も激動の年

前回の丙申であった1956年を振り返れば、日本だけに限って見ても、まさに「激動の年」だった。以下、代表的なものを挙げる。

【経済】

経済白書に「もはや戦後ではない」という高度経済成長を象徴する記述

【エネルギー】

原子力政策を推進した「原子力委員会」の発足

【マスコミ】

テレビによる人間の思考能力の低下を懸念した「一億総白痴化」という流行語と、週刊誌ブームの到来

【安全保障】

集団的自衛権の解釈をめぐって対立した「第2次砂川闘争」

経済の行方、エネルギー政策、マスコミ問題、安全保障……。今も社会で騒がれている、日本の主要テーマにおいて、大きな変化の見られた年だと言える。

国民を幸福にするのが「革命」

60年経った今、日本はそれぞれのテーマの中で、いかなる舵取りをするのか、再び岐路に立たされている。

【経済】

経済においては、日本は高度経済成長やバブル経済を経た後、「失われた20年」と言われる低成長時代を経験した。再び、高成長を実現できるのか。安倍首相は「GDP600兆円」を掲げる一方、「経済衰退は不可避」との論調も根強く、展望は分かれている。

【エネルギー】

1956年当時に起きつつあった原発推進の流れは、今ではすっかり衰え、エネルギー自給率も綱渡り状態にある。本年は、昨年4基しか決まらなかった原子炉の再稼動が、どれだけ本格的に進むかが注目される。

【マスコミ】

戦後に影響力を拡大させたマスコミも、昨年には安保法案の反対派ばかりを取り上げるなどした。「報道の自由」という名の下に、世論をミスリードしていることに、国民が気付き始めている。夏の選挙などでは、その報道姿勢が再び問われるだろう。

【安全保障】

戦後の「一国平和主義」に基づく経済政策は、日本に高度経済成長をもたらした。しかしその一方で、憲法9条に縛られた自衛隊などの国防政策が、置き去りにされた面も否めない。今年に、改憲論議を盛り上げる以降の安倍政権が、真正面から安全保障の必要性を国民に解けるかが問われる。

このように、多くの分かれ道があることが、「革命の年」の表れかもしれない。

国民が不幸になる道を選ぶ「革命」となるか、幸福にする道を選択する「革命」となるか。国民一人ひとりが、冷静に判断していくことが、今まで以上に求められそうだ。(慧)

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