「筋肉細胞が傷つくことで、幹細胞のように何にでも変化する細胞ができた」とする論文が発表されたことにより、ネット上で小保方晴子氏と「STAP細胞」が再び注目されている。

今回論文の題材になったのは、傷がつくことによって幹細胞と似たような働きをするようになったマウスの筋肉細胞で、iMuSCs細胞と呼ばれている。STAP細胞も、マウスのリンパ細胞を弱酸性溶液に漬けたり、細いガラス管に通すなど「物理的な刺激」を与えることでできる細胞であるとされる。そもそも、「イモリの細胞が傷つくことで万能細胞化して再生する」ということが着想となっていた。

両細胞が、「物理的な刺激」によってできる、という点で共通していることは確かだ。

マウスの筋肉細胞が、様々な細胞に分化した

話題になっている論文は、英科学誌ネイチャー誌のオープン・アクセス・ジャーナルである「ネイチャー・サイエンティフック・リポーツ」に11月27日付で掲載されたもの。著者であるテキサス大学医学部ヒューストン校のキンガ・ヴォイニッツ氏らは、傷ついたマウスの筋肉細胞を取り出して培養したところ、その一部が血管やリンパ管を構成する内皮細胞になったことに着目した。通常、筋肉細胞が途中でそれ以外の種類の細胞に変わることはないからだ。

キンガ氏らは、「筋肉細胞が、『傷』という刺激により、幹細胞の状態に戻ったのではないか」と仮説を立て、研究を行った。結果的に、iMuSCs細胞は部分的ではあるものの、確かに様々な細胞に分化することが確認できたという。

論文の中では、「体細胞から多能性細胞ができることを証明しようとした先行研究」の例の一つとして、小保方晴子氏が博士課程に在籍していたころ、ティシュー・エンジニアリング誌に投稿した論文を紹介した。このことからも、今回の研究が、STAP細胞を念頭に置いて行われたものであることが伺える。

可能性を否定するのは科学なのか?

iMuSCs細胞とSTAP細胞は、元となる細胞も作成するプロセスも違う。そのため、今回の論文によってSTAP細胞が存在することが証明されたわけではない。ただ、「体細胞が刺激を受けると多能性を持つ」ことを盲目的に否定することが、科学的ではないとは言えるだろう。

昨年12月、小保方氏がSTAP細胞の再現実験に成功しなかったために「STAP細胞はES細胞だった」と結論付けられてしまった。ただ、STAP細胞がES細胞と異なる性質を持っていたことは、亡くなった笹井芳樹氏など、幹細胞研究における一流の科学者も確認している。これについては、「見間違い」とされ、はっきりとした説明はされていない。

今や日本の科学界では「STAP細胞」は「研究不正」とセットにされてしまい、タブー視されているが、海外でこの分野の研究は着々と進んでいる。未来の日本人研究者が、「STAP細胞を目の敵にしたことで、日本の幹細胞研究が大幅に遅れた」と悔しがる光景を目にしたくはない。

小保方氏が発見したものは何だったのだろうか。やはりもう一度、白紙の目でもって、STAP細胞の可能性に目を向ける必要がありそうだ。(河本晴恵)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『小保方晴子博士守護霊インタビュー』 大川隆法著

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