英オックスフォード大学が、無線LAN(Wi-Fi)技術に代わるLi-Fi(ライファイ)技術の開発で大きな進展があったことを去る2月に発表したが、このほど、エストニアのタリン市の企業オフィスなどで、実用化に向けてLi-Fiが試験的に使用され始めた。オンライン科学誌「ScienceAlert」が報じた。

ケーブルを使わないでパソコンやスマホをネットに繋げるWi-Fiは日本でも使われているが、Li-Fiはデータ通信の速度がさらに速い。オックスフォード大学の研究室では、毎秒224ギガビットのデータを通信することができ、エストニアのオフィス環境では、毎秒1ギガバイト(8ギガビット)という、Wi-Fiの100倍の速度でデータ通信ができるという。

Wi-Fiが電波を使うのに対し、Li-FiはLED電球から出る可視光を高速点滅させてデータ通信を行う。

使いやすく、速く、不正接続の心配も少ないLi-Fi

もし実用化されれば、各家庭のLED電球を通して、誰もがネットに繋がることができる。英企業「PureLiFi」は、LED電球をLi-Fi発信機に変えるためのチップを開発中だ。

研究環境で実現した224ギガビットは、映画にすると約18本分のデータ量。それを1秒で通信できるということだ。

また、可視光を使えるということは、いままでできなかったことも可能になってくる。たとえば、電波は水に吸収されるため、海中でWi-Fiは使えない。しかし、可視光はより遠くまで届くため、ダイバー同士や、ダイバーと船の間でのネット通信が可能となる。

飛行機の中など、電波の使用が危険視される環境でも、電子機器に干渉しない可視光を使えば、ネット通信が可能になる。

さらに、可視光は壁を透過できないため、隣の部屋の人に勝手に接続される恐れもない。

情報の流通を速くする

国の経済規模は、人、モノ、お金、そして情報の流通速度によって決まる。

より速く、大量の情報を共有できるということは、それだけ仕事効率を上げたり、いままで不可能だったことを可能にすることができる。

米企業シスコシステムズによると、2019年までに、通信される情報の量はいまの約10倍になるという。その需要の一部を、Li-Fi技術が満たすことができるかもしれない。

しかし、情報の量が増えても、その質を担保しなければ、どんな技術躍進も発展をもたらさないだろう。情報に間違いがあれば、混乱を生む可能性すらある。

現代は高度な情報社会であり、どんなことでも指先一つで知ることができる。それだけに、情報の価値を見分ける目が、ますます重要になりそうだ。(中)

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