他の惑星への移住といえば、テクノロジー面の課題が注目されやすいが、一歩先んじて、「他惑星での政治のあり方」について真剣に討議している組織がある。
英国惑星間協会は、宇宙開発を支援する世界最古の組織であり、宇宙工学、宇宙開発の推進に学術誌も発行している。
英BBCの記事によると、今年の6月には科学者、技術者、社会学者、哲学者、作家等が集まり、「他惑星で生まれた独裁的な政治体制をどのように打倒するか」というSFのようなテーマで議論がなされた。独裁といってもエイリアンによる独裁ではなく、人間が移住した先の惑星で人間がつくった政府による独裁体制のことだ。
空気や水を押さえた勢力が独裁化?
他惑星で空気や水が豊かでない場合、その供給源を押さえた者が権力を容易に握ることができる。その点、地球とは政治の前提が大きく異なる。
そして、もしその独裁政権を打倒しようとする勢力が革命を起こせば、共有の居住空間が破壊されるなど、その惑星の住民全員の命にかかわる被害が出かねない。
また他惑星では、企業も、より専制的になるかもしれない。その中でもし労働者がストライキなどを決行すれば、真空空間に出る扉の前に連れて行かれて、「ここから先に行くか戻るかは君次第だ」などと脅されるかもしれないのだ。
特殊な環境下では、奴隷制も生まれやすいが、その中で個人の自由を最大限に守りながら色々な可能性も模索していかねばならない。このように宇宙に出る前には様々な想定をしておく必要があるのだ。
この会議の内容はエッセイにまとめられ、発行され、未来の宇宙旅行者のマニュアルとなる予定だ。
宇宙スケールの哲学が必要
実は、この会議は今年で3年目を迎える。
1年目は、「地球外での自由とは?」がテーマで、惑星上での自由、法治、民主主義、土地所有、独裁、宇宙植民地の独立性、地球外での憲法などが話し合われた。2年目は、「地球外での人類の政府」というタイトルで、宇宙での自由を最大化する政治・経済システム、憲法、宇宙での法と治安維持システム、刑務所と法が討議された。
そして今年は、その人類の政府が専制化した場合、どう転覆するかを話し合ったわけだ。
場所が変われども、人間が複数いれば、思想の違いが現れ、統治の問題は必ず出てくる。地球では、まだ宗教の違いが政争の原因となっている。しかし、地球外に同じ過ちを持ち出さないためにも、今後は宇宙時代のスケールの統治の哲学が必要となるだろう。(純)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『ザ・コンタクト すでに始まっている「宇宙時代」の新常識』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1531
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