金星上空に浮かぶエアシップのイメージ(NASA公式ホームページより)

NASAがこのほど、金星への移住計画を公表した。地球外の異世界に人類を移住させるというアイデアは、最近公開された映画「インターステラー」でも描かれた。宇宙への好奇心をかきたてるテーマだ。

しかし、金星の地表は、およそ人間の生存環境と言えるものではない。鉛も溶ける高熱、酸性の大気、太陽系でもっとも多い火山、地球の90倍の気圧……。以前、ソ連が金星に「ベネラ13号」という無人探査機を送り込み、地表に着陸させ、写真を撮ることに成功したが、探査機はわずか127分しか"生存"できなかった。

以前から、人類の移住先の候補として火星が検討されてきた。なぜ今回、NASAは金星のような星を候補として選んだのか。

上空50キロは地球に似た環境

今回の計画は「High Altitude Venus Operational Concept(HAVOC)」と呼ばれる。金星の上空50キロメートルのところにエアシップを浮かべることが、構想の中心だという。

実際、金星の上空の環境は、地球と非常に似ている。気圧は地球の地表とほぼ同じだ。また、金星は火星よりも地球に近い。火星旅行が往復で平均500日程度かかるのに対し、金星への往復旅は440日だ。太陽との距離も地球より近く、太陽光によるエネルギー供給も地球の2.4倍。太陽光発電も容易だろう。

金星には文明があった時代も……

大川隆法・幸福の科学総裁は、著書『太陽の法』(幸福の科学出版)で、大昔の金星は生存に適した星であり、文明が栄えていたことを指摘している。

実際、NASAや世界各国の大学で行われてきた研究でも、数十億年前の金星は地球に似た星であったのではないかと言われている。しかしある時、火山活動による温室効果で気温が急激に上がり、水が全て蒸発。生命を維持できない環境に変わったというのだ。

地表の環境は厳しくても、人類が生存できる余地は大きい。NASAは金星移住計画を大きく5段階に分け、それぞれの段階でクリアしなければいけない技術的な課題に取り組んでいくという。

日本も宇宙開発の遅れを取り戻したい

どの国でも、こうした夢のある試みを「税金の無駄遣い」と指摘する声が出るが、決してそのようなことはない。たとえ、金星移住という目的が達成できなくても、そこから生まれる科学技術や新たな知恵は無駄にはならない。実際、60年代の月面着陸計画から生まれた航空技術、ロケット技術、通信技術などは、その後、世界の技術発展に大きく貢献してきた。

日本もJAXAなどで宇宙開発を行っているが、他の先進国と比べると明らかに遅れている。60年代のアメリカがそうしたように、日本も大規模な宇宙開発を国家目標として、先進国をリードできる国を目指すべきである。(中)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『太陽の法』 大川隆法著

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