中国メディアを監視する米チャイナ・デジタル・タイムズ紙(China Digital Times)がこのほど、中国共産党中央宣伝部と新華社通信から中国の国内メディアに向けて発行された通達を掲載した。

リークされたこの通達は、中国メディアが9月の経済データを報道する際に、「中国経済の未来は明るい」ことを強調するよう指示している。

あからさまな中国の経済プロパガンダ

通達の中には、「9月の目標は、経済プロパガンダの強化と世論の誘導。中国経済が明るいことを示し、中国の経済システムの優位性を広めるための言論形成、期待の安定化、そして信頼度を高めることだ」などと書いてある。9月はまだ終っていないため、経済データがまだそろっていないにもかかわらず、中国当局はすでに「9月の統計は中国経済が良好であることを示している」と決めているのだ。

これまでも、中国から出てくる経済データに疑問を投げかける人は少なくなかった。今年の半ばから始まった中国株式市場の混乱に伴い、中国側から出てきた「第1四半期のGDPは7%成長」という発表に、世界中から疑問の声が噴出した。今回の通達はその疑義を裏付けるものとなった。

追い詰められる中国共産党

中国共産党は、いま大きな危機に直面している。「嘘」がバレて中国経済に対する信頼が急速に失われつつある今、海外の企業が撤退し、外資が逃げ始めている。

今の中国経済は、全員が「嘘」だと分かっていても、「嘘」を言い続けるしかないという状況だ。これは、中国共産党が追い詰められていることの裏返しとも取れる。このまま経済が低迷し、雇用が消え始めれば、海外企業や資本家だけでなく、中国国民も共産党政府の統治能力に疑問を持つだろう。

その時、中国はどうするのだろうか。経済の本道で国を繁栄させることができないのであれば、軍事力をお金に換えるしかない。南シナ海や東シナ海における中国の侵略主義が、さらに激化する可能性がある。

日本の国論は安保法制を巡って揺れているが、悪化する東アジア情勢は日本の予定に合わせてはくれない。日本は周辺国と連携して、早急に地域の安全保障体制の強化を進める必要がある。(中)

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