中国経済が「減速」どころか「縮小」していることを、8月29日付の米ウルフ・ストリート紙が報じている。

誰も信用しなくなった7%成長

これまで中国経済の未来を予想する際、「最悪のシナリオ」は、「1%~3%まで成長率が落ちる」と言われてきたが、同紙によると現実はさらに厳しい。

この半年間、公式には7%のGDP成長を続けてきた中国だが、海外でこの数字を信用する人はいなくなってきている。

中国経済の現状を分析する際、多くの識者たちは「電力消費量」、「鉄道貨物輸送量」、そして「銀行融資」を指標として使う。電力や物資の流通は経済活動に欠かせないため、経済が成長していれば電力消費や物資の輸送量も増えるはずだ。

しかしここ半年の間、「電力消費」と「鉄道貨物輸送量」は減少している。「銀行融資」の面でも、何も作らない会社が潰れないようにお金を貸すなど、会社が抱える借金をさらなる借金で上塗りしている状況がある。

経済縮小を象徴している事例が中国の自動車業界だ。4月には3.7%の売り上げ成長を見せたが、5月には1.2%に落ち込み、6月にはマイナス3.4%に縮小している。さらに、7月には6.6%のマイナス成長となった。同紙によると、「自動車業界が何らかの魔法によって経済から切り離されでもしていない限り、7%のGDP成長は政治的な幻想である」とし、実際には経済自体が縮小していると指摘した。

「独裁政治」が経済改革を阻んでいる

中国経済の状態は、「1%~3%成長」という最悪のシナリオすらも下回っており、縮小に転じている可能性が高い。

中国政府はここ数年、安い製品を大量につくる経済から、高付加価値の製品をつくり、内需を促進するなどの経済改革に取り組んできた。しかし、経済状況の急速な悪化に伴い、改革を諦め、業績が好転する見込みのない会社を支えようと必死にお金をばら撒いている。

「資本主義」と「独裁政治」を両立させようとしてきた中国だが、自由な情報公開を前提とする「資本主義」と、愚民政策で国民を押さえつける「独裁政治」との間に見られる矛盾が明るみになってきている。

中国が長期的な繁栄を享受したいのであれば、一党独裁を終わらせ、国民に政治的な自由を与えるべきだ。(中)

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