ここ数日、世界的に株価が暴落している。

24日、上海株式市場が8.5%暴落し、世界大恐慌の引き金となった1929年10月24日(「暗黒の木曜日」)の株の暴落にちなんで、欧米メディアは「暗黒の月曜日」と呼んでいる。

主要メディアの間では、中国経済の失速が今回の株安の引き金だという論点が見られる。中国株の混乱は世界中に波及し、日本、アメリカ、そしてヨーロッパなどでも株価の下落が見られた。

24日のNY市場では、市場の「不安度」を示す「恐怖指数」(VIX)が45%も跳ね上がり、緊張が高まっている。

株価調整か不況の予兆か?

日経平均株価やアメリカのダウ指数は、最近の最高値から10%ほど落ち込んでいる。一部の識者は、これは一般的にコレクション(調整)と呼ばれる領域に入っており、今回のような株安は市場の「健康」を担保するために必要なものだという。アメリカなど各国の経済が発展する過程で現れる「非効率」で「非生産的」な事業や、「行き過ぎた投機」を潰して洗い流すことができる、ということだ。

たとえば、ある会社の株が、実績よりはるかに高い値だったとしたら、株価の調整によって実績に見合った値に引き戻される。そのため、今回の株価暴落が、必ずしも大きな金融危機や不況につながるわけではないという視点も存在する。

対応を迫られる各国政府

しかし、市場は多くの場合「印象」や「感情」で左右されるものだ。今回の株価暴落が、世間一般に「もうだめだ」「恐慌が来る」という印象を与えれば、株価もそのような念いに引きずられて、下がり続ける可能性がある。株価低迷が続けば、市場への信頼を回復するために、各国政府は対応を迫られるだろう。

たとえば、米連邦準備銀行は早ければ9月に金利引き上げを行うと言われている。しかし、市場に不安が広がっている時に金利を上げて金回りを悪くすれば、事態はさらに悪化する恐れがある。元米財務相のラリー・サマーズ氏は、フィナンシャル・タイムズ紙に投稿し、「金利引き上げを見送るべきだ」と主張している。

次の経済成長はどこから来るのか

これまで世界各国は、世界経済を成長させるエンジンとして、中国の高度成長に頼ってきた。その中国経済が失速する今、世界は新たな「成長」の糧を探す必要がある。

「低付加価値のモノを大量につくる」中国の成長モデルから、「高付加価値で、全く新しいモノやアイデアをつくる」ことで経済を成長させるモデルへの変革が求められているのかもしれない。(中)

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