中国の抗日戦争勝利70年の記念式典とパレードが3日、北京の天安門広場で開かれた。

式典にはロシアのプーチン大統領や、韓国の朴槿恵大統領、国連の潘基文(パンギムン)事務総長などが参加。

習近平国家主席は記念演説で、「(中国は第二次大戦で)日本の軍国主義の侵略者を徹底して打ち負かし、中華民族の5千年以上も発展した文明の成果を守った」と発言した。

中でも注目を集めたのは、習国家主席が演説で「中国は常に平和的発展の道を歩む」として、軍の規模を30万人削減する方針を発表したこと。現在の中国軍の規模は約233万人なので、1割以上の削減となる。

人員削減は軍事縮小ではない

これをもって、中国が「平和的発展の道を歩む」と見ていいのだろうか。

まず、軍事技術が近代化するに従い、人員削減をするのは自然なことだ。実際、軍事パレードで中国は、アメリカ対策とされる最新兵器を初披露した。アメリカを射程圏内に収める長距離弾道ミサイル東風5B型や、グアムの米軍基地を射程圏内にする中距離弾道ミサイル東風26型、米空母の撃破も可能な東風21D型などだ。軍事力は確実に強大化している。

また、中国の軍事費そのものは増えていくことが予想される。軍事情報大手HISジェーンズは、中国の軍事費は2020年には年間2600億ドル(約31兆4600億円)と10年比でほぼ倍増となると予測。一部の軍事専門家は、今後5年間、中国は経済成長率を上回るペースで軍事費を増額するとの考えを示している(9月3日付ウォール・ストリート・ジャーナル電子版)。

人員削減は、習近平が軍部掌握した象徴?

もう一つの見方もある。今回、習近平国家主席が人員削減を行ったことは、軍を掌握したことを意味するという見方だ。

中国軍は1997年や2003年に大規模な人員削減を行ったが、その時に国家主席や軍事委員会主席だった江沢民は、軍を掌握していた。一方、その後に国家主席になった胡錦濤は、江沢民に阻まれて軍を掌握できず、大規模な改革を行えなかった。

今回の習国家主席の発言も、パフォーマンスと考えられ、中国は「平和への道」を歩んでいるとは言えない。中国は、経済よりも軍事を優先する政治体制を採る。中国経済の行方と同様に、中国の軍事活動は今後も予断を許さない。今後も各国は協力して中国に軍拡をやめるよう圧力を強めるべきだ。(泉)

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