宇宙航空研究開発機構(JAXA)の油井亀美也飛行士が、搭乗している国際宇宙ステーション(ISS)で24日、無人輸送機「こうのとり」を船外アームでキャッチすることに成功した。日本人が輸送機をキャッチするのは初めて。25日付各紙が報じた。

ISSに物資を送る補給機はアメリカとロシア、日本だけが開発している。ISSへの補給機を載せたロケットは、昨年10月から、米オービタル・サイエンシズ社の「アンタリーズ」やスペースX社の「ファルコン9」、ロシアの「プログレス」などが立て続けに打ち上げに失敗していた。そのため、こうのとりはISSへの追加の積荷を載せていた。日本がこうのとりでの輸送に成功したのは5回連続で、H2A/Bロケットの打上げ自体は27回連続で成功している。

来年6月に初の宇宙飛行を予定している宇宙飛行士の大西卓哉氏は新聞取材に対し、次のように語っていた。「日本は有人飛行を実現する土台となる技術を既に持っていると思います。ISSに行く技術はこうのとりによって確立され、帰還についても日本の技術があれば十分に達成可能だと思います」「(個人の意見として)自分も宇宙飛行士として地球以外の天体に降り立ち、新しい時代を切り開きたい」(5日付毎日新聞)

現在、月有人探査の実績があるのはアメリカだけだが、ロシアや中国、インドなど、今後の火星有人探査を目指す国は数多い。実際、日本のロケット成功率はH2AとH2Bを合わせて97%で、世界最高水準にある。有人飛行に挑戦するには十分だろうが、具体的な計画はまだない。

ただ、日本に、有人宇宙探査に向けた動きが全くないわけではない。文部科学省の宇宙開発利用部会で審議中の中期戦略計画のサマリーに、「(日本は)ISS後、大きくは月・火星無人探査、月有人探査、火星有人探査と進むべきである」と盛り込まれる予定だという。2020年を目指した日本の月無人探査は、「重力を持つ天体に着陸する技術」を手に入れることも目的に含まれる。こうした技術は、有人火星探査などにつながるものだ。

火星に人間を送り込むためには、人類が宇宙に長時間滞在した場合の人体への影響などを研究できるISSも必要になる。ISSの運用期間は当初、2016年までだったが、アメリカは2024年までの延長を決めた。日本が2016年以降もISSに参加するかどうかは未定だが、本気で有人宇宙開発を考えるなら、今後も参加するか、ISSに代わるものを作る計画が必要になる。

今のところ、日本の有人宇宙開発については、基本的に国際協力での実施を前提としているようだ。確かに限られた宇宙開発予算の範囲内では、そうせざるを得ない状況となっている。しかし、世界トップクラスのロケット打ち上げ信頼性を誇る日本が、有人宇宙飛行まで自立して出来る技術を進めてこそ、世界の宇宙飛行技術の進化を促すことができる。有人宇宙開発についての具体的な目標や計画を立ててもおかしくない時期に来ているだろう。(居)

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