豪州シドニー郊外のストラスフィールド市は11日、市議会が「慰安婦像の建立の申し出を受け入れない」と決議した。市のローカル誌「Strathfield Scene」はこのことを「民主主義の勝利」と報じている。
慰安婦像の設置推進派 vs. 反対派のせめぎ合い
この問題は、さかのぼること昨年2月、中国系・韓国系の市民団体が「反日本戦争犯罪連盟」を結成し、慰安婦像の設置を求めたことに始まる。同連盟は大手メディアを通じて日本の戦争犯罪を糾弾し、慰安婦像が「女性の人権問題解決のために必要だ」と主張してきた。
このような動きに対し、昨年4月に現地で、コミュニティーの調和を守るために慰安婦像設置を阻止を目指す「オーストラリア・ジャパン・コミュニティー・ネットワーク」(AJCN、山岡鉄秀代表)が結成された。AJCNは、「非敵対的合理主義」をモットーに、民主的な方法で冷静に正論を訴えてきた。その後、1年以上かけて市議が審議し、今月11日に市長を含む市議6人全員が慰安婦像設置に反対する結果に至った。
在豪日本人の良識と真の友好関係が鍵
現地からの情報によると、米国人ジャーナリストのマイケル・ヨン氏が市議の一人に取材したところ、今回の決議の理由の一つには「韓国側は日本人を貶める言動をしていたが、日本人側は良識ある礼儀正しい行動をしていた」ことがあるようだ。また、豪州在住の多くの日本人が豪州社会と調和して暮らし、真の友好関係を築いてきたことも今回の勝利につながったという。さらに、今年7月に市が調査会社に依頼し、市民が慰安婦像設置に賛成か反対か調査した結果、賛成派は3分の1しかなかった。
多文化融和主義 VS 民族主義的プロパガンダ
慰安婦問題については昨年、朝日新聞が誤報を認めたこともあり、「慰安婦の強制連行はつくり話」ということは、多くの日本人にも認識されつつある。事実を歪曲した中韓の一方的な反日プロパガンダは、豪州が目指す多文化主義に反し、他民族を受け入れる寛容性を失わせる。現地のAJCNメンバーのある日本人によると、今回の問題は、単なる 「日本vs.中韓」という構図から、「豪州が掲げる民主主義・多文化主義vs.共産主義的・民族主義的なプロパガンダ」へと変化していったという。
そんな中、反対派の活動を支えたのは、現地の日本人や海外の日系人からの支援と、多民族主義を大切にする市民の願いだった。その中には、慰安婦像設置に反対した勇気ある中国系・韓国系の人々も含まれる。
豪州での勝利を世界に広めたい
11日の議会の最後に、インド系の市議が「民主主義が導いたこの結果を受け入れ、『オーストラリア人』として家路に着こう」と語った。「すべての人がこの国の価値観を尊重し、人種や宗教、文化の違いを乗り越えよう」という意味だ。豪州だけでなく、アメリカやカナダでも慰安婦像設置のロビー活動が活発に行われている。豪州最初の慰安婦像問題で、民主主義が勝利したことが、中韓による世界的な反日プロパガンダを覆す大きなターニングポイントになることを期待したい。(真)
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2014年4月4日付本欄 豪ストラスフィールド市議会で日本人大学生らが慰安婦像に反対 日本は事実を世界に伝えよ
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2014年3月1日付本欄 中韓団体が「オーストラリア全土に慰安婦像」宣言