14日夜、安倍談話が発表された。日本国内のマスコミには、安倍談話を評価するものもあれば、「曖昧すぎる」と批判する論調がある。また、中国・韓国のメディアは相変わらず、「安倍総理は直接的な謝罪を避けた」「誠意に欠ける」などと、批判的に報じている。

それでは、安倍談話に対する欧米メディアの反応や、欧米市民の見解はどのようなものだろうか。

謝罪したのかしなかったのかが判断できない

「謝罪したのか、しなかったのか?」に関して、欧米メディアの報道では、「自責の念は表明したが、新しい謝罪はなかった」という論調が有力だ。

安倍談話の曖昧な表現は、欧米メディアでも話題になっている。それを総括するように、米ワシントン・ポスト紙は、「全ての人に良い顔を見せようとしたが、全員に不満を抱かせる結果となった」と指摘した。

多くの識者やマスコミ人のコメントを見ると、いずれにせよ、「戦時中の日本は多くの戦争犯罪を行った」という前提は共通しているようだ。

一般市民の見方は?

報道サイトのコメント欄を見てみると、欧米の一般市民の反応は大きく三つに分けられる。

  • 1.「日本は東アジアで多くの戦争犯罪を行ったので、しっかり謝罪すべき。謝罪しても、教科書で戦争犯罪を教えるまで、謝罪とは言えない」

  • 2.「戦争を始めた人間はもう一人も生きてはいない。現代の人間が、過去の人間がやったことに対して謝罪する必要などない」

  • 3.「日本は充分謝罪した。そもそも、どこの国もどこかで悪いことをしてきたのだから、日本が謝罪するなら、アメリカも原爆投下、中国も天安門事件について謝罪すべきだ。こういった後ろ向きな議論は生産的ではない」

コメントには日本に対して好意的なものもそうでないものもあるが、一般市民の間にも共通しているのは「日本は悪であり、謝罪すべき(あるいは謝罪した)」という歴史観が浸透しており、それを前提に談話が受け止められていることである。

自虐史観をさらに助長させた安倍談話

結局、安倍談話は、これまでの欧米のマスコミや一般市民の認識と同じく、「日本が悪いことをした」という前提で書かれた。今回の談話は、世界に広まっている「日本悪玉論」を助長させるものになったのだ。

しかし、日本が戦った理由が欧米の植民地支配を終わらせることにあったのは、昭和天皇が終戦を伝えた「玉音放送」を聴いても分かるはずだ。

日本が「戦後レジーム」を終わらせるには、国内の自虐史観を払拭することはもちろん、世界に広がる間違った歴史観を正すための発信を行う必要がある。今回の安倍談話で、議論は後退したと言わざるを得ない。(中)

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