大阪大学の研究グループがこのほど、世界最強のレーザーの生成に成功したことを、主要各紙が報じている。この「LFEXレーザー」は、全長100メートルほどの巨大装置で生成され、2ペタワット(1000兆ワット)の出力を誇る。

全世界のエネルギー出力を上回るレーザー

国際エネルギー機関によると、2012年度に全世界が一秒間に消費したエネルギーは約18テラワット(1.8兆ワット)である。そのため、阪大のレーザーはこの500~1000倍の出力を持つことになる。

なぜここまで高い出力を得ることが可能なのだろうか。

阪大のレーザーは、電子レンジ2台を2分間作動させたエネルギーを、1兆分の1秒という短い時間内に放出する。同じエネルギーを、より短い時間で放出すれば、瞬間的な出力を上げることができるというわけだ。

これまでレーザー出力の記録を保持していた米テキサス大学のレーザーに比べて、出力は倍、エネルギーでは100倍であり、名実ともに世界最強のレーザーとなった。

同研究チームは、世界中でレーザー光の性能競争が続いているとして、将来的にはこのレーザーの5倍となる、10ペタワットもの出力を持つレーザーの開発を目指している。

阪大のレーザーは、将来的にレーザー核融合や核物理など、科学研究への応用が期待されている。

ちなみに「ミサイルなどを打ち落とすための防衛兵器」としてのレーザー兵器を期待する声もあるが、この「LFEXレーザー」は、まだ兵器としては使えない。瞬間的な出力がどれほど高くても、電子レンジ2台分のエネルギーでミサイルを打ち落とすことはできないからだ。

日本の科学技術レベルは世界最高水準

一昔前まで、日本は液晶テレビや自動車などの技術力の高さで世界経済を席巻していたが、それらの分野ではいまや、韓国や東南アジアの国々が技術的に追いついてきている。日本はさらに高い技術力を駆使して、新しい富を創造していかなくてはならない。高出力レーザーや核融合などは、未来産業の基盤になり得る技術だ。

未知なる科学・産業領域を切り開き、繁栄を築いていくことこそ、リーダー国家・日本の役割ではないだろうか。(中)

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