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米上院議会は23日(現地時間)、ウクライナへの608億ドル(約9兆4000億円)の支援を含む追加予算案を賛成多数で可決しました。

《詳細》

今回の法案は、ウクライナ支援に608億ドル、イスラエルへの軍事支援やパレスチナ自治区ガザ地区への人道支援に計264億ドル(約4兆円)、台湾への軍事支援などに計81億ドル(1兆2000億円)を計上した、総額953億ドル(約14兆7500億円)の緊急予算案です。

緊急予算はバイデン米大統領の意向を受けた民主党が昨年10月から下院議会に提出していましたが、下院で多数を占める共和党の反対で採決の目途が立たず、論争が続いていました。

そうした中、マイク・ジョンソン下院議長(共和党)が民主党の要求に妥協したことで、一部の共和党議員から解任動議を突き付けられる事態にまで発展しています。ただ、ウクライナ支援の一部を無償ではなく、「融資」にすべきというトランプ前大統領の主張を取り入れるなどの配慮もあり、20日に下院議会で賛成多数で可決されました。

そしてこのほど上院議会でも可決され、バイデン氏の署名を経て24日に成立することになります。

ウクライナ支援については、すでにウクライナに供与された武器・弾薬の補充などが含まれています。また、支援のうち経済分野の95億ドル(約1兆5000億円)は「融資」となりました。これは前述のトランプ氏の主張を踏まえたものと見られています。そのほか、ウクライナを支援するためにロシアが保有するドル資産の没収も認められました。

ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSで、「この採決は民主主義を導き、自由世界のリーダーであるアメリカの役割を強化する」と投稿しました。一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ウクライナ支援は被害と死者をさらに増やすことになると指摘。凍結ロシア資産の没収にも反発し、報復措置を取ることになると述べています。

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