《ニュース》

尖閣諸島(沖縄県石垣市)近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内に、中国が設置した大型の観測ブイの観測データを用いて、中国の研究者が少なくとも4本の学術論文を発表していたことが11日に分かりました。産経新聞(11日付電子版)が報じています。

《詳細》

産経新聞が論文検索サイトを使って調べたところ、尖閣諸島沖に設置された中国の観測ブイに関連する英語の学術論文は、2018年から2020年にかけて4本ありました。論文では、ブイの観測データを使った気象予測などが論じられており、ブイが日本のEEZ内にある時期に収集されたデータも含まれていると見られると、産経新聞は報じています。

潜水艦の安全な航行には、ブイのデータが役立つとの指摘もあります(2021年1月19日付香港英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」電子版)。他にも、中国海警船が尖閣諸島付近を航行するための気象を観測している、自衛隊の潜水艦などのスクリュー音を収集・分析しているなど、ブイの観測データが中国に軍事転用されている可能性があります。

海上保安庁が初めて中国のブイをEEZの境界線である日中中間線付近で確認したのは、2013年のこと。2016年以降は、EEZ内でも確認されるようになりました。昨年7月にも、海上保安庁の巡視船は尖閣諸島周辺のEEZ内に、「中国海洋観測浮標QF212」と書かれた黄色いブイを発見。中国がブイをEEZ内に設置するたびに、日本政府は抗議してきましたが、中国がブイを撤去したことはありません。

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