《ニュース》

広島で開催され、閉幕した主要7カ国首脳会議(G7サミット)をめぐり、英紙フィナンシャル・タイムズのチーフ・エコノミクス・コメンテーターであるマーティン・ウルフ氏は、「G7は世界を動かせないということを受け入れなければならない」と題して、アメリカの覇権とG7の経済的支配は今や"過去の歴史"となったと論評しています。

《詳細》

日本のマスコミが大々的に報じ、一般的にも"成功を収めた"と評されるG7サミット。そんな中、24日付の紙面でウルフ氏は、2008年に米ワシントンで開催されたG20サミットが「さよならG7、こんにちはG20」と報道された例を取り、今日においては「さよならG20、こんにちはG7」の状況とは言い難いと指摘。世界的な協力関係も西洋の支配も、実現不可能に見えると悲観的に評価しました。

ウルフ氏は、G7が発したコミュニケの中身に注目。ウクライナ問題や軍縮・核不拡散、インド太平洋地域、世界経済、気候変動、クリーンエネルギー、経済安全保障、教育、デジタル化、ジェンダー、人権、難民、移民、テロなどのあらゆる問題をカバーしており、同氏は「19000字のこの文章は、まるで世界政府のマニフェストのように読める」と、かなり総花的になった点を指摘。数が多すぎて焦点の定まらない希望事項は、「役に立たない」と論評しています。

アメリカの一極集中もG7の経済的優位性もどちらも歴史には残るものの、世界経済を占める割合は低下し続けていると、さまざまなデータをもとに語るウルフ氏。その上で、G7の政治的目標(とりわけウクライナ問題)は「西側諸国の戦い」に過ぎないとし、ゼレンスキー大統領がサミットに参加したことについても、ウクライナの存続を左右するのは西側だけであるため(つまり、西側のみの関心事)、世界の問題とは言えないことを示唆しました。

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