2022年8月号記事

マスコミ民主主義の虚妄

ウクライナは敗北している


西側諸国が連携しロシアを追い込めば、ウクライナ戦争に勝利できる──。
日本のマスコミや政治家はその方向で世論を動かし、支持を伸ばしてきた。
しかし、その前提が狂っている。

狂人プーチンがひとひねりで勝利できると考えてウクライナに電撃的に侵攻した。ところがウクライナの思わぬ抵抗を受け、返り討ちに遭い、プーチンは最終的には敗北する──。

ロシアの弱体化を公言するバイデン米政権は、危険水域に入る支持率回復の起爆剤としてこの戦争を利用し、11月の中間選挙勝利に狙いを定める。岸田文雄首相も夏の参院選を見据えてバイデン氏に同調。ロシアを追い込んでいる。

だが本誌7月号で指摘したように、ウクライナのゼレンスキー政権が東部のロシア系住民を虐げ、ロシアとの緊張関係をあえて高めることで北大西洋条約機構(NATO)に入ろうとした事実があり、ロシアの一方的侵略とは到底言えない。

大川隆法・幸福の科学総裁は、プーチン露大統領がやっていることは、中国で言えば、弾圧されている新疆ウイグル自治区を独立させることと同じと述べ、ロシアの介入には正当性があると指摘しているのである(*1)。

西側のマスコミはそうした歴史的背景を黙殺した上で、ロシア軍がウクライナ軍を攻撃する映像のみを流し、「ウクライナは被害者である」というイメージを人々に徹底的に刷り込む。ウクライナ善戦を報じ続けたことで、「ウクライナ勝利」は既定事実であるかのように広がり、ゼレンスキー氏は英雄視されている。それに対し大川総裁は、ロシアが特別軍事作戦を開始した直後に「バイデン氏は、対コロナ戦に続いて、二つ目の敗戦だ。残念だが頭が悪すぎた」と洞察し、ウクライナの敗戦を予言(*2)。ウクライナは中立化すべきと提言し、マスコミ報道とは正反対の立場を取っている。

(*1)法話「なお、一歩を進める」
(*2)大川隆法著『ウクライナ侵攻とプーチン大統領の本心』(幸福の科学出版)
※以降、文中や注の特に断りがない『 』内の書籍は、すべて大川隆法著、幸福の科学出版刊。

英米メディアが手のひら返し

それから約4カ月が経つ今、実は大川総裁の後を追うように類似した言論が増えている。

口火となったのが、米紙ニューヨーク・タイムズの5月19日付社説である。同紙は、米露は全面衝突できず、ウクライナ支援にも限界があると指摘し、従来の対露強硬路線を一変させた。23日には、米外交をけん引してきたキッシンジャー元国務長官が「ウクライナは領土を割譲してでも和平交渉すべき」と提案し世界を驚かせた。米紙ワシントン・ポストや英紙ガーディアンなども対露強硬論から距離を取るなど、明らかに潮目が変わっている。

ロシアがこの戦いに勝利すれば、これまでの報道は一体何だったのか。マスコミに同調して「勝ち馬」に乗ったつもりだった岸田首相の判断は、日本の将来に禍根を残さないか。本特集は、主に軍事的リアリズムの視点から「マスコミ民主主義」の虚妄を明らかにする。

 

次ページからのポイント

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