2020年10月に「地獄からのラップトップ」をスクープ報道していたニューヨーク・ポスト紙が、ハンター・バイデン疑惑を続報している。ウクライナ紛争が進行するなかで、米連邦上院議会では、共和党議員がバイデン家のウクライナ・ビジネスをめぐる追及を続けていた。問題とされるのは、当時のバイデン副大統領が、米国のウクライナ外交の当事者だったことが利益相反にあたるのかだ。

以下の記事では、2014年の「マイダン革命」で親ロ派のヤヌコビッチ政権が転覆したが、その2カ月後には、バイデン副大統領がウクライナに訪問していたことが記されている。そして時期を同じくして、息子ハンター氏とそのビジネスパートナーが相次いで、ウクライナのエネルギー企業ブリスマ社の役員に就任して、高額の報酬を受けていたと指摘されている。共和党議員が追及するように、事実関係は「符合している」ように見えるが、その真相はいまだに完全には解明されていない。

(幸福の科学国際政治局長 藤井幹久)

ハンター・バイデンの海外取引をめぐり共和党上院議員が追及を続けて 新たな証拠を公表する(ニューヨーク・ポスト紙記事)

ふたりの共和党上院議員が、4月5日の上院での長時間の発言のなかで、バイデン家とウクライナ、ロシア、中国の「汚職関係者」との経済的な関係を明らかにする新たな証拠を公表した。この問題についての発言は、3月28日以降で三度目となった。アイオワ州選出のチャック・グラスリー上院議員とウィスコンシン州選出のロン・ジョンソン上院議員は約30分を費やして、ハンター・バイデンのウクライナでの経済取引についての2020年9月の報告書の続報を述べた。最高裁判事へのケタンジ・ブラウン・ジャクソンの指名についての審議が行われるなかでのことだった。

共和党上院議員たちによる非難は、おおよそ2020年10月のニューヨーク・ポスト紙のスクープ記事の内容を受けたものだった。スクープ記事では、ジョー・バイデンの副大統領在任中と退任後に、ハンター・バイデンが父親の政治的影響力を利用して、海外で資金を稼いだことが報じられていた。

88歳のグラスリー上院議員が提示した財務書類によると、2017年には共産党政権との関係が深い中国のエネルギー企業から、ハンター・バイデンと叔父ジェームズ・バイデン(バイデン大統領の弟)が所有する会社に数百万ドルが動いていた。さらに、グラスリー上院議員が提示したのは、ハンター・バイデンと中国共産党関係者の董功文が署名していた、9万9000ドルのクレジットカード承認書だ。董功文は、その年のハンターとジェームズの海外での出費を負担していたとされている。

2014年マイダン革命とウクライナ疑惑:「何という符合だろうか」

また、66歳のジョンソン上院議員が時系列の流れを説明した。2014年にウクライナで革命が起きて、腐敗した政権が追放されていたが、その2カ月後に当時のジョー・バイデン副大統領は、ハンターのビジネスパートナーのデボン・アーチャーと、ホワイトハウスで面会していた。この面会の5日後に、バイデン副大統領はウクライナを訪問していた。そして訪問の翌日に、アーチャーはエネルギー企業ブリスマ社の役員に就任していた。アーチャーは、今年の初めに別件の詐欺容疑で有罪とされている。

さらにジョンソン上院議員によると、その同じ週に、英国当局は汚職捜査のためにブリスマ社の2300万ドルの資産を凍結していた。その数週間後には、ハンターがブリスマ社の役員に就任して、月額5万ドルの給料を受け取っていた。また、ハンターの投資ファンドは、ロシア富豪のエレーナ・バトゥリーナから350万ドルを受け取っていた。

「何という符合だろうか」「とても興味深いことに、バイデン家とロシアやウクライナの汚職関係者の関係をめぐる重大な動きが、ウクライナ尊厳(マイダン)革命の2カ月後から6週間の期間で起きていた」「ウクライナの騒乱につけ込もうとしていたかのようだ」と、ジョンソン議員は語った。バイデン大統領も、息子のハンターも不法行為での刑事告発はされていない。両者とも、不正行為はないとしている。FBIは52歳のハンターに対して、脱税捜査との関連で海外経済取引についての調査を行っている。

民主党・メディア・CIAが結託してバイデン疑惑を隠蔽

上院議員たちは、この数週間で、自分たちの調査が正しかったことが証明されたと述べている。ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙の記事が、2020年のニューヨーク・ポスト紙の報道が正しかったことを認めたからだ。元情報機関の高官たちは、ニューヨーク・ポスト紙の報道を「ロシアの偽情報工作だ」として、公然と非難していた。

この問題についてジョンソン上院議員は、メディアには「もっと厳しく」追及してもらいたいとの願いを述べた。そして新聞社とテレビ・ネットワークには、自分たちの報告書について(メディアが)ホワイトハウスに問うべきだと考えることについての質問書を提供した。さらに、(2020年)大統領選ではメディアと反対陣営の議員たちの共謀により、バイデン家の不法行為への告発が抑圧されたと非難した。

「リベラル・メディアは、当時のジョー・バイデン候補のために隠蔽を企んだ」「私たちの調査を中傷するためには、あらゆることをした」「この数年間で私たちに向けられていた虚偽の主張について、民主党議員たちからは何の謝罪も受けてはいない。アメリカ国民にも謝ってはいないが、期待することはできないだろう」と、グラスリー上院議員は語った。

(ニューヨーク・ポスト紙4月5日に掲載)

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