2018年4月号記事

仮想通貨って「要するに」!?

どこまでスゴい、どこからコワい。

今までのお金と何が違うのか?

どう画期的なのか?どう危ないのか?

手を出さない人でも、知っておくべきことは何か?

お金の未来を揺るがす、バーチャル・コインの"表と裏"に迫る。

(編集部 小川佳世子、馬場光太郎、片岡眞有子)

「ビットコイン100万円分買っといて」

東京都内に住むA子(20代)は、同棲する彼氏にこう頼んだ。彼氏は「下がるかもしれない」と考え、何もしなかった。その後、ビットコインは大暴騰。投資していれば、何倍にもなった。

A子は銀座で働くホステスで、元本100万円も自分の稼ぎだ。一方、彼氏の仕事は運送業で、稼ぎは良くない。儲けの機会を逃した彼氏に対して、A子はこう吐き捨てた。

「同じ額、あんたに稼げるのかよ!」

汗水たらして働く彼氏の仕事は、仮想通貨より虚しく見えていたのかもしれない。

一方、仮想通貨の虚しさに困惑する人もいる。公認会計士資格を持つB男(40代)は、いつもやっている株式投資の延長で、「NEM」「リップル」という仮想通貨を、10万円分買った。

株とは似て非なるものだった。B男は投資先を判断する際、企業の事業内容、財務諸表に目を通し、見学に行くこともあった。将来性を感じれば、一時株価が下がっても動揺しない。

仮想通貨についても本を読み漁ったが、分かるようで分からない。つまり、「今の値動き」以外に判断材料がない。メーターのない飛行機で飛ぶような感覚だ。

値段の乱高下に合わせ、心も乱高下した。仮想通貨を買って10日後、相場が2倍に迫る勢いで増える。興奮のあまり、仕事中、10分おきにスマホで値段をチェックする。値段が暴落した時には、通知するメールが、スマホを鳴らし続けた。最終的には損失を出した。B男は、「損失よりも、値動きで頭がいっぱいになっていた自分が虚しかった」と振り返る。

額に汗する仕事を虚しいと見るか。実態の見えない稼ぎ方を虚しいと見るか。そもそも仮想通貨とは、一体何なのか。

次ページからのポイント

仮想通貨の「創世記」

インタビュー 仮想通貨に未来はあるか / 大石哲之氏 渡邉哲也氏

「円で払いますか? 三菱で払いますか?」仮想通貨が"示した"お金の未来