中国軍が内モンゴル自治区で6月から行っている軍事演習で、台湾総統府にそっくりの建物を作り、特殊部隊が攻撃、突入する市街戦演習が実施された。23日付台湾各紙が報じている。

台湾の国防部(国防省に相当)は、「この演習は台湾人の感情を傷つけるもので、受け入れることはできない」と中国側を非難。中国が明らかに軍事的な台湾統一を視野に入れているとして、台湾では反発が強まっている。

歴史教科書の中国寄りの改訂に対し高校生がデモ

また台湾の高校生たちが22日夜、教育部(文科省に相当)前で、歴史教科書を中国寄りに改訂することに対し、撤回を求める抗議集会を開いた。

9月の新年度から使用される改訂教科書は、1947年に国民党が台湾人を武力弾圧した二・二八事件や日本統治時代の記述を減らし、代わりに中国大陸の歴史を増やすなど、中国色の強い内容になるという。高校生らによる抗議集会は一晩中続き、教師や父兄なども含め参加者は一千人近くにのぼった。台湾の若者の間で「自分たちは中国人ではなく、台湾人だ」という意識が広がっていることが分かる。

教育部はこうした動きを受け、新旧教科書の並行使用や、改訂した内容を試験に出題しないなどの方針を発表。各地方の高校で座談会を開くなどの対応をした。

李登輝元総統 講演で安保法制を高く評価

台湾の未来を左右するさまざまな出来事が続く中、来日中の李登輝元台湾総統は衆院議員会館で講演を行った。

李氏は、「台湾はこれからも、日本と同じく自由と民主主義という価値観を至上の価値とし、日本と手を携えて国際社会の発展のために貢献していきたい」と、自身の考えを述べた。また、中国が領土拡張の野心をむき出しにしていることへの懸念を示し、指導力が低下している米国を日本が支援する形で集団的自衛権を行使することは「当たり前のこと」と述べ、安倍政権の進める安全保障関連法制の整備を高く評価した。さらに、台湾国民党の馬政権への評価については、「中国一辺倒の経済政策は改めるべきだ」と指摘し、対中路線の転換を訴えた。

台湾の民主主義を守るために、日米台の協力が不可欠

2016年1月に予定されている台湾総統選は、積極的な「対中融和」政策をとる国民党・洪秀柱(こう・しゅうちゅう)氏と、「現状維持」を基本とする民進党・蔡英文(さい・えいぶん)氏による事実上の一騎打ちとなる見込みだ。台湾の人々は、真に台湾の未来を思う政党はどちらかを見極めなければならない。

中国共産党は立党100周年の2021年までに台湾を吸収することを目指している。台湾が中国に合併されれば、中国の軍事基地が建設されるのは時間の問題であり、原油を中東から日本に運ぶシーレーンを中国に武力で押さえられるだけでなく、アジア全体が"大中華帝国"になる道を開くことになる。日本がアメリカと協力して、中国の脅威から台湾を守るためにも、安保法制の整備は必須だ。(真)

【関連書籍】

幸福実現党刊 『台湾と沖縄に未来はあるか?』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『日本よ、国家たれ! 元台湾総統 李登輝守護霊 魂のメッセージ』 大川隆法著

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